この研究課題を通じて3つの研究成果を得た.第一に,政府支出を公債でファイナンスするか,税収のみでファイナンスするかの比較を行い,公債ファイナンスを選択すると経済成長率は低下し,厚生の観点からも世代間トレードオフをもたらすことを示した.第二に,年金投票における民間保険市場の役割を検討し,保険市場が整備されている経済の方がより高い成長率を実現するが,厚生で評価すると世代間トレードオフが存在することを示した.第三に,賃金交渉による失業の発生を描写し,高齢化によって成長率が低下し,再分配が失業者から高齢者にシフトすることを示した.
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