2018年1月に代表者が所属する機関の研究者を対象にワークライフバランスに関するWEB調査を実施し、統計的にまとめた報告書から教員を対象とした結果を抽出した論文を学術誌に掲載した。分析の結果、自宅での仕事の時間が月50時間以上の者が約2割以上になり、在宅勤務のニーズが高いこと、また、自宅で仕事を行う際には、学内限定サイトへのアクセス、文献等の使用、研究場所の確保などに制約を感じていることも明らかとなった。また、所属機関が全国初の大学として、研究者の帯同雇用制度を導入したことについて半数近くが十分認識できていないことも明らかとなった。 その他の研究成果として4点あげられる。まず、執筆中であったアジアの主要都市の高学歴者労働者を対象とした実証分析は、査読誌に投稿済みである。次に、学生の成績の決定要因については2019年度に日本経済学会で報告される。また、語学力、海外勤務、留学等と年収の関係を検証した論文についても国内の査読誌に投稿済みである。最後に、専攻の年収へのリターンを計測する分析を別の調査データから、比較的新しいサンプルを用いて検証した。その結果、以前に行った分析結果と異なる結果が得られており、専攻のコーホート効果が推察された。 これらの進捗以外に、以前に執筆した両立支援、女性の活躍促進施策と企業業績、コミットメント等の関連を検証した原稿1編が査読誌に掲載された。また、継続して企業の人事担当者へのヒアリングを行っており、2018年度はサントリーホールディングス株式会社の担当者へのインタビューを記事としてまとめた。北京大学および精華大学の女性研究者支援に関する現地調査も行っており、2019年度に記事としてまとめる予定である。最後に、一連の研究成果からいくつかの研究課題を新たに見つけており、上記の研究成果は今後の研究に繋がるものであったと評価している。
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