研究課題
最終年度では特に最新の人口データや政府公表データを最新のものに置き換えることにより、より現実的な分析を行った。そこでは男性、女性ともに正規労働者、非正規労働者の違いを明示的に考慮し、最新の我が国の将来の人口高齢化データのもと、公的年金に加え介護保険制度も導入したモデルにおいて将来の負担が異なった世代間でどのようになるかについて分析を行った。そこでは最新のた社会保障人口問題研究所の将来推計人口(2017)に基づいた現実的なシミュレーションを行った。最終年度のこれらの更新のもと、以下の結果が得られた。まず、公的年金への影響では、2018年から保険料率を18.3%に維持するという現実的な想定の下、年金額の所得代替率への影響を分析した。厚生労働省の見解では高齢化が進んだ中でもこの所得代替率は50%を下回らないとの試算であるが、このシミュレーションではすでに2039年からこの所得代替率が50%を切る結果となった。この結果は2115年までに現在まで積み増してきた年金基金を全て取り崩しても避けることが出来ないことが大きな特徴である。介護保険制度においては、第1号、2号被保険者に分けた上で、人口高齢化の影響を分析した。65歳以上が対象となる第一号被保険者においては、2010年に於ける負担額と比較して2060年にはその負担額が2倍を超える結果となった。また、第2号被保険者においては同年の比較において5倍以上の負担増となることが示された。この場合、現実を反映して第1号、2号被保険者の相対的負担額を3年おきに調整しての結果である。一方、男性、女性労働において正規、非正規を明示的に分けた場合の、時間的、金銭的な育児費用と介護費用を考慮した場合、男女間のギャップは女性の人的資本の低さが大きく影響していることが示唆され、女性の人的資本拡大が重要であることが一つの大きな政策的提言となった。
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Japan and the World Economy
巻: 46 ページ: 印刷中
10.1016/j.japwor.2018.02.002
Economics & Management Series, International University of Japan
巻: EMS-2017-04 ページ: 1-50