研究期間内に単著論文3本が査読誌に採択された。そのひとつであるKumagai(2017)の研究目的は、長時間介護が介護者に与える負の影響を定量的に計測し、介護政策を考察することであった。主な結果は次の通り。第一に、介護者の属性により、長時間介護が介護者の精神的な健康状態に与える影響が異なる。市場労働をしていない介護者において長時間介護がより悪い精神的な健康状態と関係しているが、非正規労働に従事している介護者に対して同様の傾向がない。第二に、市場労働をしていない介護者のうち長時間介護を1年間経験した者は、長時間介護を2年続ける傾向があるものの、彼らは長時間介護を3年以上続ける傾向がない。
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