研究実績の概要 |
本研究では、直面する人口減少化に対し、家計の経済的効果を見据えた望ましい行財政運営の在り方を検討するために、安定した財源の確保と適切な給付という視点から、雇用、出産、子ども・子育ての3つをテーマに研究を行ってきた。前年度には各テーマで検証してきた論文を体系的に整理し、それらを洋書として刊行することで、人口減少を背景とした国内の社会保障関連の政策効果を、海外に向けて情報発信を行った。最終年度である本年度は、社会保障関連の給付と財源の関係について、社会保障給付費の将来推計を行うとともに、増加の一途を辿る給付が与える財政負担を検証した。 1つ目には、将来の社会保障制度のあり方を示すために、家計のマイクロデータを使用してエージェントベースドモデルの作成を行い、学会報告および論文投稿を実施した。 金田陸幸・上村敏之「エージェントベースドモデルによる日本の人口・世帯数の将来推計」『生活経済学研究』、第51巻第2号、pp.77-89、2020年3月、査読あり等 2つ目には、地方公共団体の決算状況調データと特別会計データを使用し、社会保障給付における特別会計への操出が当該地方公共団体の一般会計の純負債に影響をもたらしていることを検証し、国内外の学会で報告を行うともに海外ジャーナルへの投稿の準備を進めている。 Yoshimi Adachi & Tomoki Kitamura.,“An Economic Analysis of Intra-governmental Account Transfers: Social Security and Public Infrastructure in japan” 15th International Conference of Western Economic Association International, March 21 th -24th, 2019, Keio University.
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