本研究では、ジョブ・マッチング理論に基づいてスキルのミスマッチが賃金に与える影響の分析を行った。労働者についての個票データと職業別のデータをマッチさせてスキルのミスマッチの指標を作成し、分析を行った結果、多くの国でスキルのミスマッチは賃金に影響を与えないことが示された。ただし、チェコ、ギリシア、オランダ、ニュージーランド、ロシアではスキルのミスマッチが賃金に負の影響を与え、チリでは正の影響を与えることが明らかになった。これらの国による違いを明らかにするために雇用の保護に注目したところ、雇用の保護の程度が強いとスキルのミスマッチが賃金に与える影響が大きくなる傾向にあることが示唆された。
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