研究課題/領域番号 |
15K03540
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関根 順 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50314399)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フロアー制約 / 動的ポートフォリオ最適化 / 凸双対法 / ドローダウン制約 / 最適停止問題 / 自由境界 |
研究実績の概要 |
1)ドリフト付きブラウン運動やその最大値過程で記述される最適停止問題の最適戦略を記述する自由境界を数値的に計算するため、確率アルゴリズム(Robbins-Monroアルゴリズム)の適用を考察した。この自由境界はVolterra型積分方程式の解として特徴づけられるが、積分核はブラウン運動の複雑な汎関数で与えられており、既存の積分方程式の数値解法は適用しがたい。結果として確率アルゴリズムが有効に機能することが理論的に保証され、数値シミュレーションを通して有効性が実際に確認された。これは研究指導した大学院生の修士論文としてまとめられた。この結果はフロアー制約をもつポートフォリオ最適化問題を双対法でアプローチする際に、双対問題に現れる最適停止問題を数値計算する際に役立つと期待される。 2)畑弘明氏(静岡大学)との共同研究で、ジャンプ付きWishart型行列値ファクター過程を持つマーケットモデルに関してのリスク鋭感的動的ポートフォリオ最適化に関する論文をまとめた。現在投稿中(査読を経て改訂中)。 3)Fausto Gozzi氏、Cecilia Prosdocimi氏(LUISS, Rome)との共同研究で、遅れを持つ無限次元ファクター完備市場モデルを用いた効用最大化問題に関する研究を継続中である。ワーキングペーパーを改訂し、更にマーケットモデルを駆動するブラウン運動やポートフォリオ戦略もヒルベルト値に拡張することを考察中。 4)将来キャッシュフローの現在価値に関する投資家の予想を織り込んだ資産価格モデルや関連したフィルトレーション拡大問題に関する研究を継続し、均衡金利モデルへの適用を考察した。また、指数ブラウン型配当モデルに関する漸近展開公式を求め、国際研究集会2件で発表した。ノイズ間の相関も考慮するようモデルを拡張して論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フロアー制約問題を解析する"道具"が、マーケットモデルに用いられるファクターモデルや、双対問題を解く際に現れる連続型特異型混合確率制御問題、連続型最適停止型混合確率制御問題など多岐に渡っており、これらのパーツ自身の研究を行う中で新展開が見られ、副産物の成果に興味が移っていたことが主たる理由である。研究実績欄で記した1)が最適停止問題に関する新展開の研究成果であり、2,3,4)がファクターモデルに関する新展開の研究成果である。1)は理論的には既存の確率アルゴリズムの適用の範疇であるが、数値解法的には唯一といってよいような成功例ではないかと考えている。2)はジャンプ型拡散課程ファクターモデルで、無限期間問題に対応するエルゴード型HJB方程式の明示的解析が行える興味深い例と考えている。3)は近年、重要度の富に増しているエネルギーファイナンス分野の基礎を支える研究として意義があると考えている。また、無限次元型ファクターモデルのモデリング手法の研究や個別例の解析も重要かつ興味深いと考えており、以後も研究を継続したい。4)はフィルトレーション拡大のモデリング例として新しい型の研究であり、結果として内生的なファクターモデルが導出されており興味深いと考えられる。次年度以降、これらの研究発展も重要な副産物として継続させたい。また、フロアー制約付ポートフォリオ最適化問題の解析へこれらの成果を統合して還元することを目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
1)フロアー制約付ポートフォリオ最適化問題について双対問題の近似解を求め、それを用いて主問題の近似解を求めることを考察することを考えている。これは主問題でのポートフォリオ戦略に制限を設けることに対応する。 2)ドローダウン制約を設けた最適投資・消費問題をファクターモデルに対して解析することを考察中。これはBlack-Scholesモデルでしか解析されていない既存の研究を大きく拡張する研究である。更に非負の金利を考慮した場合に対する研究を考えている。現在Roche氏によるワーキングペーパーの中でBlack-Scholesモデルに対して研究が行われているが、各所にギャップが多い研究のように見受けられ、これらを精査するところから研究を発展させたい。 3)無限次元ファクターモデルの解析を継続・発展させる。理論的には、ヒルベルト値ブラウン運動とヒルベルト値戦略を用いたポートフォリオ最適化の研究を、また、無限次元ファクターモデルのモデリング手法の発展を目指して個別例の解析も進める。 4)条件付き確率微分方程式やランダム化させたマルコフブリッジを用いたファクターモデルのモデリング手法の研究(University College LondonのAndrea Macrina氏、Camilo Garcia Trillos氏との共同研究)を継続発展させ、ポートフォリオ最適化問題の研究にも還元することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に国際ワークショップを企画することや海外研究集会参加や海外共同研究者訪問を行うことを考え、本年度の使用を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に国際ワークショップを企画することや海外研究集会参加や海外共同研究者訪問を行うことを考えている。
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