本研究は、新興国において、銀行が市場経済化の過程で企業と数多くの長期取引関係を持つ場合の経営リスクを実証的に解明した。国有企業が民営化される場合、地場ビジネス・グループが主要所有者となるケースも多い。こうした状況の中、地場ビジネス・グループ企業と長期取引関係を持つ国有銀行は、必ずしも債務履行能力が高い借り手企業と貸出約定契約を締結していない。また地場ビジネス・グループが国内主要銀行の主要株主となる場合、その多くの借り手企業も地場ビジネス・グループ所属企業である場合も、銀行の利潤最大化に貢献しないケースが発生し、銀行の経営リスクを悪化させるプロセスを実証研究を通じて示している。
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