本研究では、金融広報中央委員会が行っている『家計の金融行動に関する世論調査』(2007-2014年調査)の決済手段に関する設問を用いて、電子マネーとクレジットカードが現金需要に及ぼす影響を考察した。具体的には、(1)どんな属性をもつ世帯が電子マネーを日常的な買い物で使っているのか。電子マネーを頻繁に使っている世帯の現金需要は他の世帯と比べると低いのか、(2)どんな属性をもつ世帯がクレジットカードを日常的な買い物で使っているのか。クレジットカードを頻繁に使っている世帯の現金需要は他の世帯と比べると低いのか、(3)電子マネー・クレジットカードを定期的な支払いへ利用するのはどんな属性を持つ家計か、との点を確認するファクト・ファインデングを行った。研究成果は以下の通りである。 (1)については、2017年4月にドイツ連邦準備銀行の現金に関する国際会議での発表が採択され、論文が同会議の議事録に2018年2月に掲載された。当該研究は、田中みぎわ氏との共著である。 (2)については、国際応用経済計量経済学会世界大会、エコのメトリック・ソサエティアジア会合、カナダ銀行におけるセミナー、一橋大学主催家計ファイナンスコンファランスでの発表をおこなったほか、経済学学術雑誌に投稿した草稿が2017年9月から審査中。現在2回目の査読コメントへ対応中である。当該研究は、田中みぎわ氏との共著である。(3)は草稿が完成しており、(2)が終了した段階で対外投稿の予定である。当該研究は、研究代表者の単著である。
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