研究課題/領域番号 |
15K03553
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鯉渕 賢 中央大学, 商学部, 教授 (60361672)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 企業再建 / 生産販売構造 / 為替リスク / 銀行企業間関係 |
研究実績の概要 |
本課題研究の3年目となる平成29年度(2017年度)は、研究課題に基づく研究成果として、査読付き国際学術誌への1篇の英語論文の掲載決定、査読付きワーキングペーパー1篇の公開決定、日本語雑誌への1篇の論文掲載と同内容の英語論文の1篇の論文掲載決定、国際学会と国内学会への各1回ずつの研究報告という研究成果を得た。 第一の研究成果は、多国籍化した企業の生産・販売・資産が世界のどの地域で行われ保有されているかを示す生産販売構造の地理的分布を示す指標を日本の主要輸出3業種(自動車産業、電機産業、機械・重機産業)の主要企業について設計・構築し、1999年度から2015年度の日本、北米、欧州、アジアを含むその他の4地域における変化を分析したことである。 第二の研究成果は、近年盛んにおこなわれている日本企業による大型の海外企業買収(In-Out M&A)について、1999年以降の上場企業の事業会社による買収金額1000億円以上の全事例を抽出し、分析を行ったことである。本研究の主な視点は、大型のIn-Out M&Aが買収側の日本企業の生産販売構造を短期間に顕著に変化させることに着目し、そうした生産販売構造の変化が当該買収企業の株価収益率によって計測される為替リスクエクスポージャーへの影響として検出されるかを検証したものである。 この他、日本の全上場企業について、1980年から2010年までの30年間の新聞記事テキストから企業再建を経験した全事例を抽出し、その企業再建の特徴について分析を行った。 以上の研究成果が、本研究課題3年目の主な研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示した通り、平成29年度は合計4編の研究論文を掲載・公開することができた。分析は日本企業の生産販売構造などの基本的特徴に関する企業レベルの指標を構築することに成果が出ており、今後の企業レベルの銀行企業間関係の変化などの研究に資するものである。よって、本研究成果は概ね順調な進展を遂げていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる平成30年度は、これまでの研究成果の継続の上に立って、日本企業の資金調達構造、とりわけ銀行企業間関係の変化に関する大規模データベースに基づく研究を行う必要がある。これについて、データベースの構築や分析手法についての準備は既に整っており、今後は実際の分析結果に基づいて学術論文を作成する段階にある。銀行企業間関係の断絶を引き起こす様々なイベントについて精査を行い、適切な仮説設定を行うという課題がある。これについては、これまで研究してきた銀行破綻だけでなく、企業側の財務状態に関する情報を的確に考慮する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
銀行企業間関係の断絶率の推計に関する実証研究について、研究期間を1年延長したため、最終年度に計上されていた国際学会旅費などについて次年度への繰り越しが生じた。延長後の最終年度となる今年度はこの支出額について国際学会もしくは日本企業の海外現地法人への調査などへの出張費等として研究の深化および研究成果の普及のための予算として使用する予定である。
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