研究実績の概要 |
本年度の目標は,科研費で構築されたデータを用いて論文を完成させ,それを海外のJournalに投稿するというものである。この目標を達成させるために大きく3つの活動を行った。まずは,8月に開かれたAcademy of Managementで発表を行った。ここでの発表をベースにして,その成果はJapanese Management in Evolution: New Directions, Breaks, and Emerging Practicesという本の第2章として刊行された。次に,Board Interlocksの側面から考察を行った。この研究では,家族企業の方がより積極的にBoard Interlocksを活用していることを発見し,Birds of a Feather Flock Together: The Impact of Board Ties with Other Family Firms on the Board Reform among Family Firmsというタイトルで論文にまとめFamily Business Reviewに投稿をした。最後に,家族企業がどのような要因によって退出するのかを分析した論文である。論文の共著者が幾つかの学会や研究会で発表を行った。その結果,家族企業の定義を変更しても頑健な結果が得られるか確認する必要が生じ,家族所有の定義を上位10位大株主にいる場合,5%以上の場合,10%以上の場合,20%以上の場合の4つのケースに分けて,それぞれの場合について全ての計算をもう一度行った。最終年度の分析から得られた大事な含意点は,既存の研究では家族企業の定義をする際に所有の側面を強調するあまり,本当の実態を見落としている可能性が高いという点である。最終年度は主に海外の学会発表と海外研究者との打ち合わせに資金を使用したので未使用金が生じたが無事に課題を締めくくることができた。
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