研究実績の概要 |
最終年度に当たる平成30年度は、当初の予定通り、研究成果の発表に重点を置いた。まず、第18回World Economic History Congress(MIT, Boston)では、組織者として国内外の中国経済史・経営史の研究者と共に企画したパネルセッション“Institutional Change and Chinese Enterprises across the 1949 and 1978 Divides”にて、研究報告“Performance of Chinese Enterprises across the 1949 and 1978 Divides: A Case of Shanghai’s Textile Industry”を行ったほか、Economic History Seminar(LSE, London)、European Workshop in Asian Economic History 2018(University of Barcelona)などで研究報告を行い、本科研費研究の成果をアピールするとともに、専門家からの貴重な意見を得た。 研究期間全体を通じて、当初設定した、中国企業の中華民国期(1912-49年)から中華人民共和国成立後の計画経済期(1949-78年)、改革開放期(1978年-)にかけての長期的な発展過程について、計画経済期に導入された社会主義経済制度の影響に注目しつつ明らかにするという目標をおおむね達成することができた。データの制約から、比較分析の対象となるケースが紡織業や機械工業など一部分野に偏らざるを得なかった点は課題が残るが、反面、とりわけ計画経済期から改革開放期への連続・非連続を見通すことができた点が大きな収穫である。今後は、研究成果を再吟味しつつ、英文ジャーナル投稿や英文書の出版という形で研究成果の発表を進めていく。
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