研究課題/領域番号 |
15K03573
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小堀 聡 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (90456583)
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研究分担者 |
中屋 宏隆 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (00510398)
河崎 信樹 関西大学, 政策創造学部, 教授 (70512705)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日・独原子力産業の歩みの共通点・相違点を米国原子力産業の世界的覇権(ウラン資源、濃縮技術、軽水炉技術の独占)に両国がどう対応したのかによって説明することである。その手段として、(1)原子力ブームとその頓挫(1954~63年)、(2)アメリカの原子力覇権からの自立化(1964~72年)の2期間について、日・西独両国の動向とそれへのアメリカの反応を分析する。また、米国の戦略を左右する論点として、資源メジャーおよび英国政府の動向、ウランの国際的な流通プロセス、の2点についても検証する。この研究を通じて、戦後日・独両国の原子力およびエネルギー産業・政策の比較史を開拓するとともに、アメリカの覇権の経済的基盤についてもエネルギー戦略の観点から新たな知見を提供することが可能となる。 以上の研究計画のうち、本年度の研究実績は以下の通りである。まず、米国の動向については、FRUS等のアメリカ政府公刊資料の検討を進めると同時に、前年度に収集済みの資料の内容について分析を行なった。ドイツについては、西ドイツ・ユーラトム(欧州原子力共同体)の原子力政策に関する資料収集をドイツ国立図書館、ドイツ連邦文書館、欧州委員会文書館で行なった。日本については、前年度に収集済みの資料について分析を行なうとともに、横浜市史資料室での資料収集や先行研究の消化を進めた。また、米国の戦略を左右する論点としては、イギリス国立公文書館において1950年代の日本の原子力発電所の導入・建設に関する資料調査をおこなうとともに、当該期のイギリス政府のウラン調達政策とそこへの資源企業の関わり、およびイギリスの原子力開発政策との関連を前年度までの収集資料から検討した。 以上の研究成果は年2回の国際資源問題研究会にて報告・討議に付されるとともに、論文としても一部公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者、連携研究者ともに担当していた調査を進めるとともに、国際資源問題研究会を予定通り年2回開催した。また、その成果の一部は論文などで公表された。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様、(1)原子力ブームとその頓挫(1954~63年)、(2)アメリカの原子力覇権からの自立化(1964~72年)の2期間について、日・西独両国の動向とそれへのアメリカの反応を分析する。また、米国の戦略を左右する論点として、資源メジャーおよび英国政府の動向、ウランの国際的な流通プロセス、の2点についても検証する。 今後の具体的な推進方策のうち2016年度については、以下の通りである。米国については、アメリカ国立公文書館にて、さらなる資料調査を行ない、2015年度の研究会において行った研究報告を論文化し、公刊することを目指す。ドイツについては、2015年度に収集できなかった西ドイツ経済省資料や重要閣僚の個人文書などを、ドイツ連邦文書館で収集する予定である。また、ユーラトム関連資料に関しては、フィレンツェの欧州連合文書館にも所蔵されている可能性があり、そこでの資料収集も予定している。日本については、外務省、通商産業省、経済企画庁などの公文書の調査を継続するとともに、企業・業界団体資料の調査を本格化させる。米国の戦略を左右する論点としては、英国公文書館において2015年度に収集した、1950年代の日本の原子力発電所の導入・建設に関する資料の分析をさらに進め、論文として発表する。また、イギリス国立公文書館所蔵史料の利用を通じて、イギリス政府のウラン調達政策とそこへの資源企業の関わり、およびイギリスの原子力開発政策との関連についての検証を引き続き行なう。また、2次文献によるイギリス原子力開発政策の整理を行なう。 以上の研究成果については年2回の国際資源問題研究会において報告・討議に付す。 2017年度も同様の調査を継続するとともに、シンポジウム開催などを通じた研究成果の公表も重視する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた書籍の刊行が次年度以降に延期されたため、合計13,873円の残額が生じた。ただし、他の資料の分析を行なうことができたため、研究の進捗には支障をきたしていない。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度の「今後の推進方策」に記載した諸機関への資料調査旅費、国際資源問題研究会の開催費、2次文献や資料集など書籍の購入費等に充てる。
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