不況期にはマネーサプライ(マネーストック)の増加を目論む金融政策がとられる。しかし、中央銀行はマネタリーベースを操作することによってマネーサプライをとうせいできるのだろうか。金融政策に関するこの最も基本的な論点は、経済学を二つの学派に分裂させてきたマネーサプライを巡る外生説と内生説の論争は18世紀半ば以来続いてきており、計量経済学的手法を活用する今日の議論においてさえ水掛け論に終わっている。本研究は、この論争に決着をつけるには何か別の方法を試みる必要があると考え、銀行券の本性を歴史的視点から再確認することによって、この論争の決着に寄与することを試みた。
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