研究課題/領域番号 |
15K03575
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福澤 直樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10242801)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | ドイツ社会国家 / 社会的市場経済 / オルドリベラリズム / フライブルク学派 / 戦後ドイツ経済史 / 新自由主義 / ネオリベラリズム / 経済秩序 |
研究実績の概要 |
本年度も研究文献や一次資料を収集し、ドイツ現地の社会国家体制に関わる最新の研究動向を捕捉しつつ、一次資料と共に経済史の観点からのそれら諸研究の再考を試みた。 昨年度にはフライブルク大学との共同研究ユニット(How Tradition of Economic Thinking Shape Economic Policy)を構築したところだが、フライブルクは本研究課題の一つの中心たるオルドリベラリズムの本拠地であり、今なおワルター・オイケン研究所を核とするオルドリベラリズム研究の拠点の地でもある。本年度はさらにワルター・オイケン研究所とのネットワークも構築しつつ、フライブルクの研究者との議論を中心に研究を発展させた。オルドリベラリズムや社会的市場経済に関する一連の代表的研究であるワルター・オイケン研究所叢書(Untersuchungen zur Ordnungstheorie und Ordnungspolitik:秩序理論および秩序政策に係る諸研究)における数多の諸研究を批判的に摂取しつつ、西ドイツ戦後史の歴史的脈絡の中でその論理を再構成するための考察を行い、その成果は平成30年度中のフライブルクにおける研究集会において発表予定である。 これと並行して、昨年度同様にバックグラウンドとしての福祉国家、福祉社会研究全般の理解を深めるべく、政治経済学・経済史学会 福祉社会研究フォーラムやその他の国内研究集会にも前年度以上にインテンシブに出席し、比較史の視点のベースとするべく、日本も含めた各国の福祉国家、福祉社会研究者と協力体制を強化した。また広い意味での社会国家についての理解を深めるためにナチス期や東ドイツ型社会国家体制についての考察のも深め、それに即した研究会での活動も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由としては、本研究課題の開始自体が遅れたこともあるが、平成29年度まで長年、煩瑣な事務作業を伴う大学および部局の管理・運営的業務を担う複数の兼任職に同時に任ぜられてきたため、実際のところ本来意図していたエフォートは各年度とも満たすことはできなかった。とりわけ平成29年度は多大な時間をそれらの業務に費やすこととなり、結果的に著しく不本意なエフォート率に終始した。そうした中でも工夫を凝らしつつ研究時間を捻出し、かつまた積極的にフライブルク現地の専門研究者と学術的交流を深め、資料調査・分析なども進めてきたが、現状としては本来計画していたよりも遅れている状態にある。平成30年度には従前の兼務職はいずれも解かれており、(別の管理的職務には任ぜられたものの)これまで渉猟し蓄積してきた各種研究文献や研究資料の整理・分析に基づき積極的に成果の発信に努めていく決意である。
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今後の研究の推進方策 |
大学の管理的業務をまだなお兼務してはいるが、平成30年度は本研究課題の最終年度であり、これまでの考察や資料分析を踏まえ、積極的な成果の発信を行っていく。さしあたりは平成30年7月29日に政治経済学・経済史学会 福祉社会研究フォーラム研究会(於 東京大学)において「戦後(西)ドイツのネオリベラリズム再考―オルドリベラリズムを中心に―」と題する研究報告を、また平成30年9月17-19日に実施するフライブルク大学との共同研究ユニット研究会(於 ドイツ・フライブルク大学)において、戦後西ドイツの経済実態を踏まえたオルドリベラリズムの現実政策(Realpolitik)との相関についての研究報告を行うことになっている。その後両報告の成果を反映させる形で、日本およびドイツそれぞれにおいて学術論文を公刊し、さらに本研究課題に係る研究成果の継続的公刊につとめ、最終的には本課題の研究期間終了後となるが21世紀ドイツ社会国家の歴史的位相を総覧するような研究書の発刊につなげていきたい意向である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本研究課題では初年度に中途からの補助金受入れとなり、実質的な研究開始は11月となった。それ以後、研究文献や資料の等の調達が後ずれし、資料収集や共同研究ユニットの立ち上げ、共同研究実施のための外国旅費の支出も同様に後ずれするかたちで推移し、現在時至っている。この間、精力的に研究を遂行することによって遅れを取り戻すべく努めたが、大学の管理的業務を多重に抱える状況により十分なエフォートの増加がかなわず(むしろ著しく減少し)、予算の執行の遅れと、比較的多額な未使用額の発生に至ったものである。
(使用計画) 今後も意欲的に必要な文献や資料を収集する予定であり、物件費において相応の支出が見込まれる。今年度は内外において積極的に研究成果の公表を行い、且つ構築したフライブルク大学との共同研究ユニットでの研究活動を遂行していくため、海外旅費、ならびに複数回の国内旅費の支出が見込まれる。研究課題自体も大詰めとなり、より多くの研究論文等の原稿を作成することとなり、それに際して資料の整理や図表作成等の作業にかかる人件費や、外国語での論文刊行に際しての校正謝金が少なからず発生する見込みである。この他、冊子体での研究成果報告書を作成する予定のため、製本費なども見込まれる。
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