研究課題/領域番号 |
15K03578
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥西 孝至 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20211815)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低地地方 / 欧州統合 / 近代初頭 / 中世末期 / 多言語性 / 集中と分散 |
研究実績の概要 |
本研究は中世末期から近代初頭(15~17世紀)のヨーロッパ社会経済の特徴を中心地域であった低地地方を軸に欧州統合史の枠組みで再検討することを目的として、平成27年度においては、中世末期から近代初頭(15~17世紀)のヨーロッパ経済の特徴を低地地方の中心地としての機能と構造の変化の分析を軸に財による差異および取引における多言語性に焦点をあてて研究を進めた。流通構造および価格の決定メカニズムが異なる穀物、熱帯産品、毛織物、美術品についての低地地方中心都市と他のヨーロッパ諸都市についての資料、文献調査収集を進めると共に、財と情報の集積と分散における空間的差異と時間的ラグの影響を含めて分析するために必要なコンピューターを購入し、それぞれの財の流通の範囲および状態の違いを通しての各時期の特徴の分析を進めている。さらに、先行研究・刊行史料を基に取引における多言語性について商人構成の差異がもたらす各時期の特徴についての分析を進め,次年度での現地調査をすべき資料に特定に努めている。これらの神戸大での研究と平行して、平成27年12月にベルギー・オランダに出張し、海外共同研究者となるP. Pasture ルーヴァン・カトリック大学KUL教授(平成26年時の在外研究受入教員)、W. Blockmansライデン大学名誉教授、F. Vermeylenロッテルダム大学教授と研究ならびに次年度の夏に予定している資料調査について打ち合わせを行うとともに、より広い枠組みでの共同研究に必要な政治史、美術史、思想史などの文献を含めた資料収集を進めた。平成27年度の上記の研究の成果についての2本の論文を執筆中であり、平成28年度夏休みまで英語によるワーキングペーパーもしくは紀要論文として公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である平成27年度には当初平成27年10月に続き平成28年2月にベルギー、オランダに出張して次年度の夏に予定している資料調査について、当該期間中ワークショップでの報告、滞在する宿舎など実務面も含めた打ち合わせを行う予定であったが、決定予算の関係で平成27年12月に1回の出張となり、次年度の夏の在外研究についての打ち合わせが十分にできなかった。論文の執筆もやや遅れ完成が平成28年度に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては、まず8月から9月にかけてのほぼ1ヶ月の現地での調査を有効に行うため、調査すべきアントウェルペン国立・市立文書館や諸大学図書館に収蔵史料・文献のリストを作成を進めるとともに、ベルギーに滞在中に予定しているワークショップでの報告に向けて研究内容のまとめを行う。平成28年8月からの滞在ではアントウェルペン国立・市立文書館を中心に、特に取引における多言語性に関する史料を中心に取引記録などに関する資料調査を進め、合わせて同時期に当地で開催されるワークショップにて報告を行う。9月帰国後は、取引における多言語性について分析を中心に研究を進め、商人構成の差異がもたらす各時期の特徴を明らかにする。この分析の途中経過は、英語によるワーキングペーパーもしくは紀要論文として公表する。また、当該年度では、政治史、美術史、思想史をふくむ先行研究の動向をまとめ日本語のサーベイ論文として公表することをめざす。合わせて、この研究に続くより大きな枠組みでの共同研究を国内の研究者を加えて進めるための研究打合せを東京において行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の予算額を超えないように購入図書を控えたため端数としての698円が未消化となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の物品の購入に充てる予定である。
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