研究プロジェクトの最終年度となった2017(平成29)年度は、昨年・一昨年に蒐集した資料の分析を進めるとともに、その研究成果に関する発表を積極的に行なった。最も重要な研究としては、会津本郷焼においては碍子が重要な製品として生産されているが、明治期にあって碍子生産の先進地域であった有田地方などから、会津本郷焼へと官需が移り変わった時期の様子について、従来から指摘されていた人的ネットワークをより詳細に明らかにするとともに、技術や生産コストの綿からも考察を加えた。これは、【学会報告】「会津本郷焼碍子の官需への採用についての分析-なぜ、有田焼や日本陶器ではなかったのか?」(経営史学会西日本部会、2018年3月)、【単著論文】「会津製碍子の官需への採用についての一考察」(『エネルギー史研究』33号、2018年3月)となっている。 また、それ以外にも、三川内焼についての考察を前年度に引き続いて深めたり、清水焼などの京焼についての資料紹介を行なったり、陶磁器関係の事典項目執筆なども行なっている。研究成果としては以下のようなものがある。【単著論文】「針尾島と三川内焼」(北澤満編『軍港都市史研究Ⅴ佐世保編』清文堂出版、2018年2月)、【資料紹介】「京都市産業局商工貿易課編『京都陶磁器業の実態』」(『経済学研究(九州大学)』84-2・3号)、【項目執筆】「江副孫右衛門」「陶磁器工業」「日本陶器株式会社」「釉薬」(化学史学会編『化学史事典』化学同人、2017年3月、※ただし実際の刊行は2017年4月)
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