研究実績の概要 |
2015年度は,史料収集のための出張を1回(9月11日から9月21日:ロシア連邦モスクワ市のロシア連邦国立文書館およびロシア国立図書館)実施し,また文献調査のための出張を3回(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター図書室および北海道大学附属図書館)実施した。 研究業績としては,論文(単著)「On Some Aspects of Soviet Kolkhoz Farmers’ Attitude toward the Stalin Regime」(『埼玉学園大学紀要(経済経営学部篇)』第15号,2015年12月,pp.15-24.)が刊行された。 また,国際学会での発表(単独)(ICCEES IX World Congress 2015, Makuhari, Japan, August 5th, 2015)や,国内学会での発表(単独)(ロシア史研究会2015年度大会,早稲田大学,2015年10月10日)も行った。 上記の研究実績の概要は,以下の通りである。 1920年代末のソ連においては,計画経済の全面化および農業集団化が急速に進展し,その過程で商業取引が大幅に抑制され,配給制の導入もおこなわれた。しかしそれらの動きは長期に継続することはなく,配給制は廃止に向かい,1932年にコルホーズ市場での商業取引が公認された。コルホーズ市場での取引内容を取引データに基づいて分析すると,コルホーズ市場内部での供給量が価格の関数として作用するだけでなく,国営商業での供給量も関数として作用し,コルホーズ市場での価格が国営商業における価格より下回るケースも存在した。また,主食であるパンの供給量も価格の関数として作用したことも示された。
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