本研究課題の成果は、主に以下の4つである。第1に、土地改良事業の背景となる日本の零細分散錯圃の特徴を、主にヨーロッパの開放耕地制度と比較し、日本における土地改良事業の国際的な意義を明らかにした。第2に、20世紀初頭の水田灌漑の進展度を全国規模で明らかにし、国家予算を投じられる以前の土地改良事業の状況を明らかにした。当時日本には、村落共同体を基盤とした灌漑システムが発展していた。第3に、土地の交換分合の大きな阻止要因であった小作料の決定過程について、主に那須皓の「公正なる小作料」論をもとに分析を行った。第4に、富山県での土地改良事業の地域内網羅的データベースを作成した。
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