研究課題/領域番号 |
15K03591
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山井 敏章 立命館大学, 経済学部, 教授 (10230301)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メトロポリタン・リージョン / シュトゥットガルト地域連合 / シュトゥットガルト21 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本研究の主題であり、ドイツ全体で11あるメトロポリタン・リージョンのうち、主たる事例としてとりあげる地域を確定することが、本年度の重要な課題の一つだった。いくつか候補を検討した上で、まずバーデン・ヴュルテンベルク州のシュトゥットガルト・メトロポリタン・リージョンに集中して研究を進めることとした。同リージョンの中核組織であるシュトゥットガルト地域連合(VRS)は、ドイツの同種の組織のなかで最も活動の活発なものの一つである。 シュトゥットガルト市では現在、「シュトゥットガルト21」と呼ばれる中央駅の大改築を柱とする都市再開発事業が進められており、VRSもその一翼を担ってきた。ただし、この事業に対しては市民層の強い反対運動があり、激しい対立は、バーデン・ヴュルテンベルク州の政権交代(緑の党から首相が出た)にまでつながった。メトロポリタン・リージョンに関する従来の研究は、地域の経済力強化という課題を各リージョンがどの程度実現しているかという経済的効率性の観点にほぼ支配されており、上のような対立を組み入れた検討はほとんどなされていない。こうした傾向をまさに偏ったものと知り、地域の社会的・政治的対抗関係を視野に入れたメトロポリタン・リージョン論の必要を確認できたことが、本年度の研究の重要な成果である。 こうした検討の結果の一部を、現在執筆中のドイツの国土計画に関する書物の一部としてまとめつつある。さらに、メトロポリタン・リージョン構想の背景を成すグローバル化について、アジアとヨーロッパの社会的・文化的比較を組み込んだ研究を行い、その成果を国際学会で報告するとともに、論文にまとめて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、地域経済力強化の課題に限定されない視野をもったメトロポリタン・リージョン研究の出発点を築くことができた。 本年度中にドイツに出張して資料・情報の収集にあたる予定だったが、校務の関係などで時間がとれなかった。ただし、文献の収集は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
シュトゥットガルトを事例とする上記の研究をまとめ、ドイツの国土計画に関するこれまでの研究と合わせて一書として刊行する。「シュトゥットガルト21」をめぐる域内の対立関係を検討するなかで、地域政策における基礎自治体の機能をより深く知ることの必要性が明らかになってきた。こうした問題意識をもって研究を進めていく。 2016年5月にルーマニアに出張し、ブカレスト市内の大学で研究報告を行うとともに、東欧地域の地域開発についての情報を得る。さらに、夏期ないし春季休暇を利用してドイツに出張し、資料・情報の収集を行う。11月には釜山で、アジアの地域協力をテーマとする国際学会が開かれる予定であり、それに参加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたドイツへの出張が、校務との関係などで時間がとれず、実施できなかった。これによる支出計画の変更が大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は5月にルーマニア、11月には釜山への出張を予定している。さらに大学の長期期間中にドイツに出張して資料・文献の収集にあたりたい。
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