平成30年度は、2件の研究発表を行った。 第1件目として、日本商業学会第68回全国研究大会で2018年5月に「自動車メーカーの生産拠点国の重層性」という論題で研究発表を行った。本研究では、自動車産業において、各メーカーはどこの国に海外直接投資をしているのかに焦点を当て、メーカー間の参入国間のオーバーラップと、国家間のメーカーの生産拠点のオーバーラップについて実証的に分析を行った。その結果、メーカー間の生産国の類似性から、メーカーの出生国及びメーカーの規模が生産拠点の重層性に影響していること、生産国間のメーカー進出先の類似性からは、地域(エリア)によるクラスターがゆるやかに形成され、多数のメーカーが進出している国は地域を越えて類似していることが明らかになった。 第2件目として、商品開発・管理学会第31回大会で2019年3月に「ノスタルジアと商品デザイン:コンセプトカーのアンケート調査を通じて」という論題で研究報告を行った。その結果、現在市販されていないコンセプトカーにおいても、そのデザインにノスタルジアを覚えるうること、ノスタルジア性向の高い人が、旧車をモチーフにしたクルマを好むという関係がみられないこと、クルマのデザインにおけるノスタルジア性は、今回取り上げたいずれのデザインにおいても選好にポジティブな影響があることが確認された。そのため、消費者のノスタルジア性向の関わりなく、クルマのデザインのノスタルジア性は消費者の選好を高めるのに有効であると考えられる。
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