研究課題/領域番号 |
15K03607
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
宮本 道子 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (30469598)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 戦略的整合モデル / 事業戦略 / 事業とITの整合 / ICTプロジェクトマネジメント / IT戦略 |
研究実績の概要 |
①平成28年度は「構造に基づく戦略的整合モデル(SSAM)」について次年度のアンケート本調査を念頭に、昨年行った関連理論の研究に基づき、秋田県内の中小企業で検証された事業戦略やIT戦略に対する社内の各部署の役割や影響に関する質問項目を見直した。 ②本研究のテーマの一部である国際比較研究の一環として韓国の中小企業を対象とした人的資本企業パネルデータによる研究を行った。まず、異なる事業部門における事業とITの整合性についてSSAM枠組みを使った日韓企業の比較を行った。韓国と日本では経営スタイルが異なるが、どちらも人事部門がIT戦略に大きな影響を与えるという結果を得たが、IT戦略については韓国企業の場合は他の部門に関連していないという結果になった。また韓国企業では経営陣が営業・サービス、研究開発、技術、人事、生産部門に対し大きな力を持っていることが示唆された。次に、企業の内部経営資源が競争優位を生み出すと考えるリソース・ベースト・ビューの理論的枠組みを用いて、それぞれの中小企業が持つ無形資産が競争優位の点からIT事業価値にどのよう影響を与えるか分析した。 ③日本のITCプロジェクトに対するプロジェクト・マネジャーとプロフェッショナルの知覚と態度、特にコミュニケーション、仕事に対するモチベーション、仕事への関与と満足度について、それらの指標を使って2つのグループ(マネジャー、プロフェッショナル)の違いを分析した。その結果、マネジャーはコミュニケーションが仕事に対するモチベーションに深く関係しているとしたが、プロフェッショナルのグループはそういう結果を示さなかった。 ④企業だけではなく、介護施設におけるIT活用の実態について、秋田県全域で調査を行った。集計を行い、これからITを活用している施設としてない施設について差異がないか、分析するところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本全体におけるアンケート調査はこれからだが、先に韓国企業についてのデータが取れたので国際比較が進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
今年は、SSAMモデルの調査対象を日本全体に広げ,秋田県内の中小企業で検証された事業戦略やIT戦略に対する社内の各部署の役割や影響を調査する予定である。その後、日本企業特有の事業とITの整合性に関して注視すべきことを企業規模,地域性など鑑み,より深く検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はアンケート調査項目の見直しと手に入った韓国企業データを使った国際比較研究を行ったため、アンケート調査の実施を進めるところまでは行かなかったからである。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、アンケート調査の実施と学会、国際会議への参加のための旅費、海外学術誌論文投稿費、海外文献の購入で使用すること、などを計画している。
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