本研究の目的は、知的に遅れがないものの、社会的コミュニケーションと想像力の点で障害があるとされる高機能自閉症スペクトラムの人(以下、HFASD者)が、自身の特性を活かした職場での効果的な組織行動について明らかにすることである。本研究では、組織行動の観点からHFASD者とマネジャーとの相互作用プロセス・モデルを開発した上で、HFASD者がその特性を理解しているマネジャーから期待される組織市民行動についての調査を行った。その結果、援助、従順性、スポーツマンシップ、市民道徳、厚意性/礼儀正しさで構成される組織市民行動が、限定的ではあるものの、包括的にHFASD者に期待されていることを明らかにした。
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