研究課題
平成30年度は、「ペイアウト(配当と自社株買い)」の研究を中心に実施した。アメーバ経営におけるペイアウトをコーポレートファイナンスの視点により分析した論文「ペイアウト」では、以下の成果が得られた。第一にペイアウトに関するコーポレートファイナンス理論の論点を整理し、先行研究の成果をまとめた。第二にアメーバ経営の事例研究として京セラのペイアウトについて分析し、京セラの配当政策は上場以来、1株当たりの配当金を目標とする安定配当であったこと、連結配当性向を目安とする業績連動型に変更した後も1株当たりの配当金を強く意識した配当を実施していること、京セラの自社株買いはストックオプション制度によるものであることがわかった。またアメーバ経営の特徴である部門別採算とペイアウトの関係については、理論的には、配当は資本コストに含まれるので、京セラにおける配当の扱いが焦点となることがわかった。このように、ペイアウトの観点からアメーバ経営を分析したことは、初めての試みであり、意義がある。また有価証券報告書等における企業の配当政策の表明と実態が、必ずしも一致していない場合があることがわかったことは重要である。またアメーバ経営の意思決定の前提には経営思想があり、この経営思想とアメーバ経営とファイナンスとの関係について明らかにした論文「Transformative connections between culture and finance」は、平成29年度の電子出版に加えて、平成30年度にはHardcoverとして刊行された。
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北九州市立大学マネジメント論集
巻: 12 ページ: 1~23
Handbook of Personal and Organizational Transformation (Springer, Cham)
巻: - ページ: 961~978
10.1007/978-3-319-66893-2_43