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2015 年度 実施状況報告書

経営理念と組織のダイナミズム:日本航空の破綻と再生を巡って

研究課題

研究課題/領域番号 15K03616
研究機関麗澤大学

研究代表者

高 巖  麗澤大学, 経済学部, 教授 (60265478)

研究分担者 寺本 佳苗  就実大学, 経営学部, 准教授 (50610341)
田中 敬幸  高崎商科大学, 商学部, 講師 (30727722)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード日本航空 / JAL / 経営哲学 / 経営理念
研究実績の概要

本研究プロジェクトでは、「日本航空株式会社(JAL)の破綻と再生」を取り上げ、「企業内コミュニティの再生に向けての取り組み」「経営理念の形骸化と活性化」「JAL再生にあたった稲盛和夫氏の経営哲学」などに焦点を当てつつ、それらが「JALの破綻と再生」にいかなる影響を与えたのか、包括的かつ体系的な因果関係を整理すべく、調査を進めている。
平成27年度には、3度にわたって研究会を開催し、主に、研究の全体構成と、各メンバーの担当箇所におけるテーマ設定や分析方法について、議論を重ねてきた。その結果、次の2点において、具体的な成果が得られた。
1点目は、本研究の全体像についてである。JALの破綻に至るまでの経緯として、経営に与えた影響を外部要因と内部要因に分け、さらに内部要因を3つのサイクル(短期、中期、長期)に分類することとした。短期のサイクルでは、運転資金や利払い・資金返済・償還について、中期のサイクルでは、投資資金、機材の耐用年数について、長期のサイクルでは、経営における責任意識や組織における一体感について、それぞれ着目する。各メンバーはそれぞれの観点から問題の分析を行う予定である。
2点目は、それぞれのメンバーの担当箇所における、個別の研究の進捗である。現時点では、ガバナンス、教育、組織・管理会計、財務、労働組合、機材などの分野において、それぞれが研究を進めているところである。例えば、ガバナンスについては、破綻前から破綻後への変化を中期経営計画の位置づけの変化から読み取ることができた。また、また、組織の面においては、破綻前のJALが企業としての適正規模を超えていたことや、組織が固定化していたことなどが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度には、「本プロジェクトの全体像に関わる問題」と「個別論点に関わる問題」の2点を中心に議論を進めてきた。個別論点については、各プロジェクトメンバーがそれぞれの担当箇所を調査し、研究会で共有してきた。そこでの議論を踏まえ、改めて全体構成を練り直すというプロセスを繰り返してきた。その結果、全体構成については、概ね完成するに至っており、この点においては当初の計画通りに進んでいると言える。
しかし、一部の個別論点については、当初の予定に変更を加える必要も生じている。本プロジェクトの論点の一つは、稲盛改革によってJAL従業員の意識がどれだけ変化したかを明らかにすることであった。そのために、JALが2008年と2013年に実施したアンケート調査の生データを入手し、アンケートによる時系列比較調査を実施することとしていた。この点については、JAL側の承認を得ていた。ところが、肝心の2008年のアンケート調査データが、JAL社内に保管されていないことが明らかになった。このため、アンケート調査結果に基づく比較調査の実行は困難になった。
とは言え、この問題が本研究の価値を大きく損なうとは考えていない。そもそも、稲盛改革を通じてJAL従業員意識が大きく変化したことは自明のことである。むしろ本研究では、変化の内容を詳述することにより重点を置くべきだと考えている。したがって、今後も、これまでと概ね同じスケジュールに従いつつ、個別論点における調査をより充実させるため、外部の専門家のアドバイスなども受けながら、研究を進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

平成28年度においても、基本的にはプロジェクトのメンバーそれぞれが、各項目を分担するという方法で、個別に研究を進めていく予定である。
ただし、これまの議論に基づき決定された新たな全体構成を土台として、個別論点の位置づけを考え直す必要もある。そのために、必要に応じて小規模な研究会を開催し、情報の共有を図るとともに、進捗状況の確認を行うこととする。
個別論点の調査は本年12月をめどに概ね完了する予定である。その時点で、メンバー全員で研究会を開催し、成果を共有する。その上で、1月以降には、個別論点の議論を踏まえ、全体構成を改めて議論していく。

次年度使用額が生じた理由

JAL従業員の意識調査に係るアンケートを実施し、その集計と分析を行う予定であったが、これが行われなくなったことによる。当初は、JAL側から過去の意識調査結果をデータとして提供してもらい、それを基に従業員意識に関する実証分析を予定であった。
ところが、JAL側が社内資料を確認したところ、2008年の調査データが保管されていないことが分かった。このため、比較対象となるはずであった、過去の調査データが、入手不可となってしまった。したがって、アンケートの集計に係る費用の支出、分析に必要な統計ソフトの購入に係る支出が不要となった。

次年度使用額の使用計画

JALにおいて従業員意識が大きく変化したことは自明であり、変化の内容を詳述することにより大きな意義があると考えている。そこで、破綻前から破綻後にかけての、JAL社内で起きた変化について、複数の視点から、分析を加える予定である。
その際に、外部の専門家によるアドバイスや支援を受ける必要が生じている。特に、機材(航空機)などの中期的なタイムスパンで生じる変化を分析するにあたっては、航空機に関わる専門的な知識が不可欠となる。したがって、外部専門家にかかわる費用が別途生じる可能性が高い。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 日本航空の経営破綻と組織的要因 (2)―1970年代における「ナショナル・フラッグ・キャリア」の概念的変化―2015

    • 著者名/発表者名
      大塚祐一、藤原達也
    • 雑誌名

      麗澤大学経済社会総合研究センター Working Paper

      巻: 72 ページ: 1-45

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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