1)自社株買いと配当の代替性の研究では、2017年に行った全上場企業対象のサーベイ調査を実施して、2006年に行ったサーベイ調査結果とデータを統合して分析を行い、論文にまとめ、2017年9月の日本経営財務研究学会において報告を行った。主な結果として、(1)配当に対する認識は概ね変わっていないが、自社株買いの意思決定については大きく変化した、(2)自社株買いを通じたROEの改善についての意識は高い、(3)機関投資家・外国人投資家を惹きつけるためにペイアウトを用いる意識は高い、(4)ペイアウトの手段間での代替性は強く認識されていない、等のことがわかった。国内の学会誌への投稿を行った(採択済み)。 2)株主優待が株式市場に与える影響について研究では、昨年度までに構築したデータセットを用いて分析を行い、論文にまとめ、2017年9月の日本経営財務研究学会、2017年12月の30th Australasian Finance & Banking Conference(シドニー)において報告を行った。主な結果として、株主優待の実施により、実施企業の資本コストの低下、固有ボラティリティの低下という望ましい影響が得られた一方、株な急落リスクの上昇という問題点も発見された。現在、国際雑誌への現在投稿の準備をしている段階である。 3)追加テーマのETFが現物市場に与える影響に関する研究では、邦文、その後英文の論文にまとめ、それぞれ、2017年6月の日本ファイナンス学会、2017年12月の30th Australasian Finance & Banking Conference(シドニー)において報告を行った。主な結果として、ETFによる保有割合の増加が現物株式のボラティリティを高めることが明らかになった。現在、国際雑誌への現在投稿の準備をしている段階である。
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