研究課題/領域番号 |
15K03626
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
四本 雅人 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90547796)
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研究分担者 |
高橋 正泰 明治大学, 経営学部, 教授 (10154866)
中西 晶 明治大学, 経営学部, 教授 (70347277)
高木 俊雄 沖縄大学, 法経学部, 教授 (80409482)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 安全文化 / 組織事故 / 高信頼性組織 / 組織文化 |
研究実績の概要 |
初年度である2015年度は,これまで収集してきた福島第一原発事故に関する文献・資料に加え,安全文化と密接に関係する「高信頼性組織(High Reliability Organization: HRO)」 に関連する文献・資料調査を行った。本研究プロジェクトは,原子力発電所を中心としたインフラ企業の調査を行っていく予定であるが,新たな安全文化モデルの構築を行うためには,米軍の原子力空母や原子力発電所,航空管制塔など,事故が絶対に許されない組織を研究してきたHROに関する知見や洞察が不可欠なためである。特に,HRO研究の契機ともなったKarl E. Weick & Kathleen M. Sutcliffeの『Managing the Unexpected: Sustained Performance in a Complex World (3rd Edition)』は,組織事故に関する組織の安全性・信頼性への関心を喚起する著書であるため,本研究プロジェクトのメンバーが中心となり,翻訳作業に着手した(2016年度内に出版予定)。 また,これまでの福島第一原発事故に関する研究を8月にLos Angelesで開催されたThe 17th International Conference on Human-Computer Interactionにて"Fukushima No. 1 Nuclear Power Plant: The Moment of 'Safety Myth' Collapses"というタイトルで発表を行った。内容は,日本において,原発の安全神話がどのように構築され,そしてまた,福島第一原発事故とともにいかにして崩れ去ったのかというものである。 最後に,組織事故,高信頼性組織に関する3本の研究記事が『経営情報学会誌』の「経営情報フォーラム」にて掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで継続してきた安全文化・高信頼性組織に関する研究を国際学会で発表し,また,学会誌に論文掲載がされた。福島第一原発事故を中心とした組織事故に関する資料・文献の調査も行い,2016年度の原発関係者へのインタビュー調査に向けた準備が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は,これまで行ったきた資料・文献調査,ならびに組織事故・高信頼性組織に関する理論研究をもとに,原発関係者へのインタビュー調査を行っていく。福島第一原発事故の関係者には,なぜ,事故が起こってしまったのかを技術的な要因だけでなく,組織的要因を中心に調査する予定である。また,他の原発関係者ならびに電力会社には,福島第一原発事故を踏まえて,安全対策へ向けて制度的にどのような変化があり,また,組織文化として展開されているかを調査していく。 調査の結果,明らかになったことは,諸学会での研究報告,ならびに学術論文への投稿を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の3月に国際学会の公式ジャーナルに論文投稿を行う際に,英文への翻訳ならびにネイティヴチェックを専門の業者にて行ってもらったが,当初,想定していたよりも料金が安かったために残金が出てしまった。残金の発生が判明したのが当該年度の執行期限を過ぎていたため,次年度へ繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度へ繰り越した助成金は,2016年度使用計画のインタビュー調査,ミーティングのための出張費,学会報告などに組み込む予定である。
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