研究課題/領域番号 |
15K03628
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
谷口 真美 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (80289256)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ダイバーシティ / 人材管理 / 業績回復 / 企業姿勢 / インクルージョン / リーダーシップ / 多様性 |
研究実績の概要 |
本研究は、企業における人材の多様性に対する取組み姿勢が、どのようなメカニズムで組織成果にプラスに働くのかを明らかにする。とくに、政策(女性登用比率の数値目標設定)や世界金融危機をはじめとする外部要因を、企業がシグナルとして認識し、組織内部のプロセスをへて、組織成果にプラスに働くのか、マイナスに働くのか。外部要因と内部要因の相互影響プロセスの解明を目的とする。二年目にあたる平成28年には、次の3つの方法で、調査を実施した。 1)既存の調査研究のサーベイ(既存研究からの仮説構築・欧米の先進事例と調査結果の収集)既存研究のサーベイの一部を、論文として公刊した。2)定量分析(多様性の取組み姿勢が組織成果に作用するメカニズム、データ分析)日本の上場企業における従業員調査のデータを用い、多様性の取組み姿勢と職場と個人への影響プロセスと、それらが成果に与える影響を分析した。3)企業ヒアリング調査の実施:多様性の取組み姿勢が組織成果に作用するメカニズムをより詳細に考察するための、企業ヒアリング調査については、グローバルに経営を展開する2社に対して実施した。特に、トップマネジメントがどのようにビジネス環境の変化の認知し、その後、多様性の取り組み姿勢を変化せ、社内への展開に結びついたかを明らかにした。4)海外の研究者からの情報・資料収集:マニトバ大学 Dass Parshotam教授や、マサチューセッツ工科大学のLotte Bailyn 教授からの助言を得て、草稿執筆を行った。 多様性の取組み姿勢が組織成果に作用するメカニズムをより詳細に考察するための、今年度は、とくに企業ヒアリング調査および国内外の研究者との協働を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ分析の結果の解釈にあたって、ヒアリング調査の対象企業を選定したところ、2社から快諾を得た。
海外研究者との情報交換により、研究上の示唆が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である、平成29年には、引き続き次の4つの方法で調査を行いながら、研究成果の発表を行う。 1)既存の調査研究のサーベイ(欧米の先進事例と調査結果の収集)、2)定量分析(多様性の取組み姿勢が組織成果に作用するメカニズム、個別企業全従業員調査)、特定の企業(多様性の取組み姿勢の変化が業績回復にマイナスに影響した企業と、プラスに影響した企業)に対し、従業員アンケート調査を行う。世界金融危機前後の戦略の変化、取組み姿勢の変化をどのように受け止め実行したか、そのことが職場の成果にどのような影響を与えたかを明らかにする。3)定性分析:多様性の取組み姿勢が組織成果に作用するメカニズム(企業ヒアリング調査)、組織のパフォーマンスに結びつくプロセスを解明するため、2)のアンケート調査を実施した企業において、トップマネジメント、人事担当者、現場マネジャー、メンバーへのヒアリング調査を行う。世界金融危機前後の戦略の変化をどのように受け止め、施策を企画・実行したか、またそれが職場のフォールトライン形成とコンフリクト発生、コミュニケーションの齟齬さらには職場成果に影響を与えたかについて聞き取りを行う。 4)海外の研究者からの情報・資料収集 さらに、多様性の取り組み姿勢が組織成果に作用するメカニズムの解明ついて、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
|