• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

マルチセクター協働の破綻と持続可能なスケールアウト戦略

研究課題

研究課題/領域番号 15K03631
研究機関京都産業大学

研究代表者

佐々木 利廣  京都産業大学, 経営学部, 教授 (80140078)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード協働 / NPO / 破綻
研究実績の概要

理論的には、昨年からのノットワーキング論の研究レビューをさらに進めながら、企業とNPOの組織間関係が強化されていくという方向と、組織間関係の結び目が解れたり新たな結び目ができるといった関係の組み換えがどのように生じるかについての組織間関係の組織化と非組織化の過程について考察してきた。また企業とNPOの協働が進む過程で、共同開発のよる新製品が市場に出ることもあれば、過程途中で様々な要因による協働の挫折が生じることもあることを理論化する作業を進めてきた。また実証面では、マルチセクター協働のなかでも特に企業とNPOの協働による新しい製品サービスの開発や製品化が進んでいく半面で、様々な理由により協働が中止したり製品化が中断したケースについて企業側とNPO側の双方へのインタビュー調査を行った。その結果、以下のケースが存在することが明らかになった。
1、企業とNPOの協働の中断には、パートナーのどちらかのビジョンやミッションが変更になることで協働が中断するケース、
2、新製品あるいは新サービスとして市場に出たにも関わらず、市場そのものの成熟度が低いことから市場に受け入れられないケース、
3、新製品や新サービスが既存市場に一時的に受け入れられたにもかかわらず、持続可能な形で定着しないままに終始しているケース、
可能性としてはこれ以外のケースも考えられることから、さらに事例を掘り起こしながら組織間関係の組織化と非組織化の過程を分析したいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、NPO法人グリーンバレーと徳島県神山町地元企業との関係、NPO法人宮崎文化本舗と宮崎県内企業との関係、2つの組織形態の融合をもとに、NPO法人チャレンジド・コミュニティを基盤にしたITに関する職業訓練と有限会社コパンによるチャレンジドの雇用の同時達成を目指すケース、株式会社パン・アキモトとNPO法人WeCanの2つの組織形態を融合しながら「パンの缶詰」誕生を経て保存食リユースシステム、さらに「救缶鳥プロジェクト」にまで至る事業化の過程のケース、中間支援組織として複合型共生施設のマネジメントを行っている北見NPOサポートセンター、などを調査してきた。
さらにNPO法人クックルー・ステップ(福岡市)とトヨタハートフルプラザ福岡(福岡市)の協働による障がい児のための車いす用雨カバー「ヌレント」の開発過程と製品化以後の経過について双方から情報収集を行った。さらに買い物難民のための移動スーパー「とくし丸」のビジネスモデルと他地域へのスケールアウトの過程についても詳細なフィールドワークを行った。
こうしたケースの発掘や収集により、NPOと企業の協働の多様性や協働に至る過程や結果の多様性について多くの事実発見を蓄積することができた。

今後の研究の推進方策

最終年度ということもあり、これまでの理論的研究と実証的研究を踏まえながら企業とNPOと行政とのマルチセクター協働がどのように生成し、どのような過程を経て発展し、場合によっては中断し、最終的にどのような結果や成果を生み出していくかについていくつかのパターンを抽出したいと考えている。
さらにそうした複数のパターンの生成に影響を及ぼす要因についても類型化をしたいと考えている。こうした作業を進めながら持続可能なマルチセクター協働のあり方を考え、そうしたマルチセクター協働システムをどのように他地域や他国に移転していくかについてのヒントを探ってみたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

洋書の一部が期限までに調達不可能になったことによる。

次年度使用額の使用計画

発注中の洋書は次年度に購入予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 協働戦略を通じたNPOのスケールアップ-NPO法人あおぞらとNPO法人まるの事例を中心に-2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木利廣
    • 雑誌名

      経営論集

      巻: 第64巻 ページ: 91-110

    • DOI

      ISSN0387-298X

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ソーシャルビジネス成長の2つの道-スケールアップとスケールアウト-2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木利廣
    • 学会等名
      経営行動研究学会
    • 発表場所
      大阪学院大学(大阪府・吹田市)
    • 年月日
      2017-02-25

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi