日系多国籍企業のアジア地域統括本社の機能高度化とASEAN経済共同体の創設

2016 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K03641
• 研究機関: 弘前大学
• 研究代表者: 森 樹男 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (80250588)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 地域統括 / シンガポール / タイ / 香港 / ASEAN経済共同体

研究実績の概要

本研究は，地域統括本社（会社）というマネジメント組織を対象に，その役割の高度化について調査研究し，多国籍企業の海外子会社の研究における役割の高度化（販売子会社に生産機能や研究開発機能が付与される）とは異なる視点からの分析を行い，事業組織とは異なるマネジメント組織の役割変化について検討する目的のもと実施するものである。
平成28年度は，前年度に引き続きASEAN，特にシンガポール，香港，タイにおける地域統括本社（会社）設立や変化の動向を収集することに努めた。そのためNNA社のオンラインデータベースと契約し，常にアジアにおける地域統括会社に関わる情報が手に入る体制を整え，現地の情報を得られるようにした。その結果，平成28年度前半は日系企業がアジアに統括本社（会社）を設立する傾向が若干見られたが，後半は全くみられなかった。このことから，日系企業のアジア地域統括本社（会社）における何らかの変化があるのではないかとの仮説を立てるに至っている。
また，昨年度実施した香港調査の内容の精査を行いながら，アンケート調査項目についての検討を行った。その結果，地域統括本社（会社）の概要，地域統括本社（会社）のマネジメント，地域統括本社（会社）の費用，地域統括本社（会社）の成果，地域統括本社（会社）の今後の計画という質問項目（全27項目）からなる質問票を作成した。
アンケート調査については，作業の遅れにより年度をまたぐこととなったが，現在質問票などを印刷中であり，平成29年4月下旬までにアンケート調査票を配布する予定である。
今後は，調査の遅れを取り戻し，29年度内に結果が出せるよう研究を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成28年6月より本務校において副理事（社会連携）職を担当することとなり，急激に学内業務が増えたことで，研究に割ける時間が少なくなったことが大きな原因である。本年度も状況は変わらないが，業務の整理を行い，研究期間中に成果を出せるように進めていくこととしている。

今後の研究の推進方策

遅れているアンケート調査を4月に実施し，6月までにはまとめる予定である。それと共に，アンケート調査結果を捕捉するために6～9月頃に現地調査を行う。その後，結果をまとめ，年度内に成果発表できるように努める予定である。

次年度使用額が生じた理由

実施予定であったアンケート調査が実施できなかったこと，また，アンケート調査を受けて実施する予定であった現地調査ができなかったことが理由である。

次年度使用額の使用計画

現在，アンケート調査についてはアンケート調査票を印刷発注しており，4月下旬の発送ができる体制が整っている。このことから6月頃までにはアンケート調査が終了する見込である。
また，その結果を受けて，現地調査を6月～9月までに実施する予定である。その後，調査結果をまとめ，発表準備を行う予定にしており，その後は調査結果をまとめ発表することから研究期間内に予定している使用額を執行できる見込である。