研究課題/領域番号 |
15K03641
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森 樹男 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (80250588)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域統括 / ASEAN経済共同体 / 権限委譲 / シンガポール |
研究実績の概要 |
本年度は主にアンケート調査の実施と,それを補足するインタビュー調査を実施した。アンケート調査の目的は,地域統括会社の設立の動きとAEC(アジア経済共同体)の関係や,アジアにおける地域統括本社(会社)の立地と機能の分散化の傾向を探ることにあった。 アンケート調査は東南アジアと香港にある日系海外現地法人のうち「統括会社」として登録されている企業292社にアンケート用紙を送付し,23社から回答を得た。回収率は14.0%である。アンケート調査の集計結果からは①地域統括会社の設立は増加しているものの,AECとの関係は確認できなかった。②アジアにおける地域統括会社の統括範囲が,過去と比べると拡大しており,特にインドを対象とする統括会社が増えたことが特徴としてあげられた。また,アジアにおける地域統括会社の立地と機能の分散化に関しては①地域統括会社の立地の分散はみられた。②また,かつては日本とのつながりを重視して運営されていたが,現在はアジアの中心として機能する形で役割が与えられていた。③統括機能を内容によって分散させる企業もみられ,統括機能の分散化傾向も確認された。 そして,インタビュー調査はシンガポールにおいてJETROの他,日系企業5社で実施した。本調査で明らかになったことは,①アジアにおける地域統括会社への権限委譲が不十分であること,②地域統括会社を持株会社化した後の地域統括会社の役割が曖昧になっていること,③調査した企業のうちの数社は,地域統括会社の役割の再定義を行い,実質的な地域統括マネジメントを行う体制を整えていること,④シンガポールにおけるファイナンス機能が重視されていること,である。 今後は,この調査で得られた知見とアンケート調査の結果をあわせて分析し,アジアにおける日系企業の地域統括マネジメントの実態を解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れている大きな理由は学内業務が多忙になったことである。本研究2年目(平成28年度)から所属大学において副理事を任ぜられ,研究開始当初に予想していなかった業務により本研究に割ける時間が減少している状況である。この結果,予定していた研究(アンケート調査の実施と取り纏め,さらにインタビュー調査)の実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,遅れているアンケート調査の分析,分析結果を取り纏める予定である。あわせて,シンガポール以外の地域におけるインタビュー調査も実施する予定である。 上記の調査結果を取り纏め,学会発表や論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,学内業務の多忙により,予定していた研究(アンケート調査の実施と取り纏め,さらにインタビュー調査)の実施が遅れていることによる。 平成30年度は,アンケート調査の結果を分析したものをアンケート調査報告書として発行する予定である。また,残りのインタビュー調査の実施を実施し,最終的には,アンケート調査の結果とあわせて,学会発表や論文として発表する予定である。
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