ドイツの化学企業におけるフィールドワークを通じて得た一次情報をもとに、ドイツの経営者の行動規範の形成と変容について探った。この背景には、2000年代の世界金融危機の主要な原因の一つとして、経営者の問題ある行動が指摘されていたことがあった。これを検証すべく、人的資源管理と企業統治の両面から、ドイツの経営者の行動規範の形成を分析した。成果として、家族企業と純粋なマネージャー企業との間では、経営者に対する監査役会の規制力に差があることが判明した。また世界金融危機の前から、マネージャー企業では共同決定が形がい化していた。一方、経営トップの選考では、家族企業では技術の論理が最重要であったことが判明した。
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