研究課題
本研究では、日本の装置産業と素材産業のグローバル戦略に焦点を合わせて、本国資源の活用と現地市場への適応のプロセスを動態的な視点で明らかにするために、日本の装置・素材産業とドイツと韓国の装置産業・素材産業を取り上げ、本国市場での成長戦略だけではなく、グローバル市場に展開する際に本国資源の活用ととともに、現地市場への適応プロセスを動態的に分析することに焦点を合わせている。研究初年度である平成27年度では、装置産業と素材産業の本社部門(HQ)が構築してきた組織能力の活用と現地市場への適応プロセスを明らかにするために、親会社と海外子会社、または海外子会社間の動態的学習プロセスに関するフレームワークを提示し、理論的な分析枠組みを示した。また、このフレームワークに基づき、国内と海外の研究協力者たちに依頼して、日本、ドイツ、韓国の装置・素材産業のグローバル展開における代表的事例を選定し、グローバル展開の動態的プロセスを分析するために、インタビュー調査準備を行いつつ、片方では対象企業への訪問調査を実施した。このように、2015年度では、日本、ドイツ、韓国の装置・素材産業のそれぞれの本国の組織能力構築の差異を比較し、海外展開における本社のグローバル戦略を比較するための理論的枠組みを示し、その後実施した現地訪問調査の成果を積極的にまとめて、国際的に発信することも試みた。具体的な研究成果は、図書として3本の論文と査読付き論文5本(そのうち、SSCIジャーナル1本)を出版した。また、査読付きの国際学会報告6回と国内学会報告3回を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究では、日本の装置・素材産業とドイツと韓国の装置産業・素材産業を取り上げ、本国市場での成長戦略とグローバル市場に展開する際に本国資源の活用ととともに、現地市場への適応プロセスを動態的に分析するための分析のフレームワークを提示し、日本、ドイツ、韓国の装置・素材産業から研究対象を抽出し、その後、具体的に抽出された日本、ドイツ、韓国に位置している本社を訪問し、インタビュー調査を行い、本研究課題のフレームワークを検証することである。このような日本・ドイツ・韓国企業の本国と海外子会社の関係を動態的な視点で比較分析することで、国際経営論の視点で日独韓企業のグローバル戦略を分析しただけではなく、経営組織論・製品開発論といったより広い文脈から組織間関係を捉えようと試みた。2015年度は、本研究のフレームワークを提示し、研究調査に当てはまる事例を集めることに成功した。また、フィールド調査は探索段階に留まっているものの、その成果を論文としてまとめて、初年度から発信しており、研究成果の側面からは当初の計画以上に進展していると考えられる。次年度は、米国、中国、東南アジアに立地している海外子会社を対象にフィールド訪問調査を継続する予定であり、本研究の目的を十分達成できると予想できよう。
平成28年度(2016年度)のインタビュー調査では、本社のグローバル展開により、米国、中国、東南アジアに立地している海外子会社を対象にフィールド訪問調査を行なう。平成27年度との比較のために、同年度調査を行った企業の海外子会社におけるグローバル戦略の特徴を明らかにする。また、中間の研究成果を積極的に発信していく。具体的に、その成果を国際学会に3回以上報告し、さらにその成果をまとめて、国際ジャーナルに投稿していく計画である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 図書 (3件)
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