研究課題/領域番号 |
15K03648
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
秦 茂則 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, コンサルティングフェロー (30744205)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中小企業 / イノベーション政策 / 特許分析 |
研究実績の概要 |
本研究はイノベーションの重要な担い手の一つである中小企業に対してイノベーション促進の観点から実施されている経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)及び文部科学省の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の効果を検証するものである。 2015年度の研究では、2010年度のそれぞれの受給企業に対し、事業の成果である特許と、事業の成果ではない各企業の独自特許について比較分析を行い、暫定的な結論としてA-STEPは企業の知識創出にプラスの影響を与えている可能性が示されている。 2016年度の研究では、引き続きデータの蓄積を行うとともに、知識創出における事業の効果をより定量的に分析するため、企業の知識吸収能力等の理論について先行研究のサーベイを行った。知識吸収能力について定量的な指標として活用できる手法としては、特許の技術分類を用いて技術の近接性を評価する方法について一定の合理性を有していることを確認した。 また、データの蓄積の過程で特定の研究者と比較的長く共同研究を行っている企業の事例が少なからず確認された。特定の研究者と長期の共同研究を行うことは企業にとってより深い知識を共同研究者から得られるというメリットがある一方で、知識の供給源が長期に亘って限定されるというデメリットもあると考えられる。産学連携の効果を測定する際には、企業と大学研究者の関係の在り方も一つの重要な考慮要因であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発明者ベースの特許のデータ収集を引き続き行っているが、時間を要している。予定していた中小企業へのアンケート調査についてはその要否を含め検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究対象とする企業を拡大してデータの充実を図るとともに、企業の知識吸収能力についての先行研究サーベイをもとに、より定量的な分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
業務の関係で予定していた国際学会への参加ができなかったことやアンケート調査の実施の要否について抜本的に検討をおこなっていることなどにより次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き特許データベースを用いてデータの蓄積を進めるとともに、研究成果を国際学会にて発表する予定である。
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