研究課題/領域番号 |
15K03648
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
秦 茂則 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, コンサルティングフェロー (30744205)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中小企業 / イノベーション政策 |
研究実績の概要 |
本研究はイノベーションの重要な担い手の一つである中小企業に対してイノベーション促進の観点から実施されている経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)及び文部科学省の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の効果を検証するものである。 2015年度の研究では、2010年度のそれぞれの受給企業に対し、事業の成果である特許と、事業の成果ではない各企業の独自特許について比較分析を行い、暫定的な結論としてA-STEPは企業の知識創出にプラスの影響を与えている可能性が示されている。 2016年度の研究では、引き続きデータの蓄積を行うとともに、知識創出における事業の効果をより定量的に分析するため、企業の知識吸収能力等の理論について先行研究のサーベイを行った。知識吸収能力について定量的な指標として活用できる手法としては、特許の技術分類を用いて技術の近接性を評価する方法について一定の合理性を有していることを確認した。 2017年度の研究では、サポイン事業の政策の効果の一つとして、事業により新たに生み出された知識が当該企業の中でどのように発展しているのかを特許を用いて分析した。具体的には、平成19年度から22年度に実施されたサポイン事業の政策効果として受給企業が事業の成果として生み出した特許(成果特許)及びサポイン事業の成果ではない特許(非成果特許)が当該企業あるいは他社の特許においてどの程度引用されているかを分析した。分析の結果として、226の成果特許のうち、自社のその後の特許で引用したものは10、他社が引用したものは21となった。また、219の非成果特許のうち自社で引用したものは7、他社が引用したものは17となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発明者ベースの特許のデータ収集を引き続き行っているが、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究対象とする企業を拡大してデータの充実を図るとともに、企業の知識吸収能力についての先行研究サーベイをもとに、より定量的な分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究以外の業務が多忙であった関係で研究が遅延しているため次年度使用額が生じた。今年度はサポイン事業、ASTEP事業の受給企業の特許データベースを完成させる予定。
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