本研究は、日本の多国籍企業における研究開発活動のパフォーマンス(成果)に影響を与える戦略的・組織的要因について明らかにすることを目的としている。具体的には、電機、化学・医薬品分野等の日本の多国籍企業を研究の対象として取り上げ、その研究開発活動のパフォーマンスについて、研究開発の国際化および研究開発のオープン化(オープン・イノベーション)を鍵概念として明らかにするものである。 本研究全体では、研究開発の国際化およびオープン・イノベーションに関わる関連文献・論文の収集を行い、先行研究の状況について継続的にサーベイを実施した。このサーベイを通じて、先行研究について把握すると同時に、本研究の分析のフレームワークについて検討を行った。また、東洋経済新報社編『海外進出企業総覧』等の公刊データベースを利用し、日本の多国籍企業における研究開発の国際化とオープン化について、外部の企業との合弁事業を含む実態に関する複数年にわたるデータベースを整備した。 以上の作業を研究計画期間全体にわたって実施するとともに、研究の最終年度となる平成30年度は、研究計画の中で予定していた日系企業の海外現地法人に対する訪問調査を実施した。具体的には、電機・化学関係の日系製造企業のマレーシアおよび中国の現地法人を訪問し、現地の駐在員と現地スタッフに対して聞き取り調査を実施した。 今後は、このように研究計画期間全体を通じて得られたデータを分析・精査し、学術論文の執筆・投稿、学会発表を実施していくことを予定している。
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