研究実績の概要 |
本研究の目的は,知識創造モデルを分析視角として,海外に展開している日韓の自動車産業とエレクトロニクス産業を対象とする実証研究によって,日韓企業の海外現地法人の知識創造の実態を明らかにすることである。 平成30年度では,日韓合弁企業,および,日本のエレクトロニクス企業群の知識創造プロセスの動態的展開の解明を試みた。まず,李・平野(2018)は,中間財と産業財の複合事業企業の日韓国際合弁事業における成功要因を,グローバルなナレッジイノベーションの観点より明らかにした。また,Lee(2018)の研究では,日本のエレクトロニクス企業2社の事例研究を通じて,両社の顧客,製品,コアコンピタンスの3つの要因を,各々比較分析しその評価を試みた。この事例分析の結果,コアコンピタンスを検討する際,深層の能力の側面のみならず,知識や技術の多様性も視野に入れて分析すべきであることを示唆している。Park(2019)らの研究では,電気自動車製造企業3社の研究開発戦略を,各社の全特許データから分析し,知識探索型の研究開発戦略と知識活用型の研究開発戦略を取っている事を可視化したものである。さらに,姜(2019)の研究では,自動車産業全般のパラダイム変化と,これらの変化が産業構造にどのような影響を与えているかを見極めるために,特にIT企業の参入に判って急速に発展しているスマートカーの技術特許を中心に,グローバルなナレッジイノベーション・パターンや技術開発のトレンドを分析し,韓国自動車産業の将来のポジショニングについて検討した。
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