本研究は新しい資金調達手段であるクラウドファンディングがベンチャー企業の資金調達においてどのような役割を果たしえるのか、現状把握と条件を提示することを目的としている。この目的に向け、具体的には(1)投資型クラウドファンディング(株式型と組合型)実態把握と効果測定、(2)投資型クラウドファンディングの構造分析、(3)どのような企業の資金調達に効果を持つのか、(4)利用促進に向けた課題を抽出するという4つの論点から研究を進めていた。 これまで研究年度では、サイト運営者やプロジェクト提案者、資金提供者に対するデータ収集に加えてインタービューを行うことで資料収集を行ってきた。最終年度となる本年度は、資金提供者に対する大規模なアンケート調査を実施することが出来た。データは5種類のクラウドファンディング(寄付、購入、貸付、組合、株式)それぞれについて資金提供経験者を対象に調査を行い、2000名を超える回答を得ることが出来たことから、種類別の資金提供者の特徴や比較分析が可能となったと考えられる。また、同時に資金提供者が実際クラウドファンディングサイトを利用して資金提供した際に感じた不便さや不満についても調査を行ったことから、(4)の研究目的である利用促進に向けた課題についても情報収集が行うことが出来た。 現在これらのデータについて加工と分析を実施中である。今後はこれまでのインタビューによる調査結果と今回のデータをについて比較や整理をしながら分析し、クラウドファンディングを利用した資金提供の決定要因などを明らかにしテイク予定である。それ手に伴って、国内・国外の研究会・学会大会などで研究発表を行い、そこでの議論を踏まえて研究成果をまとめ、学術誌に投稿していく。さらに、これと並行して、プロジェクト提案者に対しても大規模調査をっていく予定であり、次年度以降学会報告並びに論文投稿を行う予定である。
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