研究課題
2018年度は、「日本企業における女性労働力の活用に関する研究―欧米企業との比較考察」というテーマで4年間にわたって行った研究の最終年度であった。本年度はウェブ調査を実施し、労働者の転職行動を説明するモデル構築、および分析を目的とした。そのため、以前に行った調査データを分析し、そこから今回新たな説明変数を加えることの必要性、およびどのような変数を追加すべきかを検討した。2013年2月に実施したウェブ調査データを用いて、女性労働者の離職意向の決定要因を探るモデルを構築、男性労働者と比較することにより、特性を明らかにした。しかし、性別による差異以上に複数の項目にまたがって統計的に優位な差が認められたのは、日本企業の従業員と在日外資系企業の従業員の離職意向の形成過程においてであった。本研究では、「欧米企業との比較考察」を副題としているが、そのことの重要性が示唆される結果であった。2018年度後半では、他企業におけるキャリア展望について、「他の日本企業でのキャリア展望」と「他の外資系企業でのキャリア展望」を分けて分析した。それにより、性別比較においても、日本企業と外資系企業の比較においても、労働者の離職意向の決定要因の違いに関して新たな知見を得ることができた。2019年2月には大規模なウェブ調査を実施した。回収データ数は、男性1592件(59.4%)、女性1087件(40.6%)であった。今回の調査では2013年度の調査には含まれなかったワークライフバランスの観点を取り入れた。また、スキル特性に関しても、企業特殊的スキルのみならず、企業横断的スキルについても独立の質問項目を追加した。引き続き、こうした変数を加え、離職意向や仕事満足に関する因果関係モデルのさらなる精緻化を図り、現状分析を行っていきたい。
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『経営論集 今城光英教授退職記念号』 大東文化大学経営学会
巻: 第37号 ページ: 179-192
IASS Working Paper Series 2018-E001, Waseda University
巻: E001 ページ: 1-30