研究目的にある、シリコンバレーにおける研究開発者の感性とイノベーション成果およびそれを可能とする組織要因を明らかにする、という点での研究実績として、最終年度である今年度は、イノベーションにつながる研究・開発のための個人のアイデア創出に関わる心理的因子(感性、モチベーション、知識等)について、質問項目を作成し、研究者にアンケート調査を実施した。しかし、サンプル数が少なく、当初考えていた結果が得られず、今後の課題として残された。また、アイデア創出に関わる因子が、研究開発グループ内の研究者間のインタラクションにいかに作用しているかのマルチエージェントシミュレーションにより再現できるかのモデルの精緻化をした。さらにアイデア創出に際してデザイン思考がいかに有効かを各種事例から検証した。その成果を、「デザイン思考によるイノベーション」、東洋大学経済研究会、経済論集、43(2)、2018年3月に発表した。その成果のために、2017年9月14日~22日にかけて米国カリフォルニア州サンフランシスコおよびシリコンバレーにあるJICA、スタンフォード大学を訪問し、JICA職員および研究員にヒアリング調査を実施し、デザイン思考がいかに有効であるかの事例を多数収集した。また、IDEO Tokyoを訪問し、IDEO Tokyoにおけるデザイン思考の実際をヒアリング調査し、デザイン思考が単に製品開発に際して有効な手法であるばかりか、組織デザインにおいても有効性が実証されてきている事例が増えている現状が確認できた。
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