若年従業員の組織適応プロセスに関する長期的な観察

2016 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K03683
• 研究機関: 東洋大学
• 研究代表者: 寺畑 正英 東洋大学, 経営学部, 准教授 (20328644)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 若年従業員 / 組織社会化 / 早期離職

研究実績の概要

本研究は、企業に入社した新卒の従業員が組織社会化されるプロセスを長期的に分析することによって、離転職と継続就業を分ける要因を分析し、若年従業員が企業に適応するためには何が必要かを考えるものである。このプロセスを観察するためには、二つの作業を行う必要がある。一つは、組織に継続的に参加し、社会化されている従業員の変化を観察することである。もう一つは、単一の組織に所属し続けない若年者を観察することである。この研究によって、若年従業員を組織人として社会化し、長期間就業させ、企業に長期的に貢献する事が出来るような人材に育成する為に、企業がどのような工夫をするべきかを提示することができる。
本研究の目的を達成するために、本年度は２つの作業を行った。１つは理論的な作業であり、もう１つは実証的な作業である。理論的な作業とは、過去に行われた類似の調査の探索、並びに若年従業員の適応を分析するために有用な枠組みとなる理論をレビューし、整理することである。この点に関しては、昨年度収集した文献を集約し、不足している作業を補った。これからも継続的に進めていきたい。
次に実証的な作業であるが、本研究では、実際に企業に入社して１０年以内の従業員に対する継続的なインタビュー調査をする必要がある。特に、研究の性質上、きわめて長期に渡ってインタビュー調査を行う必要性がある。なぜなら、従業員が、大学を卒業して、企業に入社し、組織に適応し、発達していくプロセスを長期間にわたり観察する必要性があるからである。今年度の作業は以下の通りである。昨年度に確保した新規のインフォーマントに対するインタビューを分析した。今後、同一インフォーマント並びに、過去に調査したインフォーマントに対する継続的なインタビュー調査を続ける予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、引き続き文献研究とインタビュー調査を行う予定であった。文献の調査はそれなりの進展があったが、インタビュー調査に関しては大幅に遅れている。昨年度のインタビューに関する分析は行ったが、以前調査したインフォーマントの再調査に着手することが出来なかった。また、研究成果の中間発表に関しても着手できなかった。よって、やや遅れているといえる。

今後の研究の推進方策

28年度の反省を踏まえ、29年度も引き続き文献収集とインタビュー調査を継続して行っていきたいと考えている。文献収集については、29年度中には目途がつけられるようにしたいと考えている。インタビュー調査に関しては、本年度は過去のインフォーマントの再調査を精力的に行っていきたい。研究成果の中間発表に関しては、29年度の6月に学会への発表を予定している。

次年度使用額が生じた理由

インタビューの計画が遅れているため。また、インタビュー内容を分析するソフトウェアについて、新しいソフトウェアを検討する必要が出たため。

次年度使用額の使用計画

新年度は進捗の遅れているインタビューを遂行するためその費用に、前年度の残額を充てる。また、ソフトウェアの検討をした上で、購入する予定であるため、予算は予定通りに執行される。