研究課題/領域番号 |
15K03685
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 新興国市場 / 資源ベース / ダイナミック・ケイパビリティ / リソース・リポジショニング / 企業特殊優位 / ビジネスモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は日本発の新興国市場戦略の理論化にある。最終年度にあたるH29年度には、さらに定性データ(日系企業の新興国市場進出のケーススタディ)を追加し、リソース・リポジショニング・フレームに基づき分析を行った。新興国市場へ参入してから概ね5年間の短期間における本国資源の活用のプロセスを検証するため、主にイオンモールならびにイオンのインドネシア進出、一蘭(ラーメン店)の新規店舗立地における戦略策定と修正プロセスならびに成果の関係性を検討した。とくにインドネシアのジャカルタではイオンモール、イオンの全店舗と競合店舗を視察し、複数のインタビューを実施した。過年度までに収集済みのケースと合わせて、リソース・リポジショニング仮説の検証作業を進めた。その結果は英語論文としてとりまとめ、海外ジャーナルへの投稿準備に入っている。 本年度は海外ジャーナルに2本の共著論文を発表することができた。Journal of International Marketing誌ならびにJournal of Business and Industrial Marketing誌である。両論文は新興国市場進出における現地パートナー企業との関係性構築プロセスを検討した帰納的方法論を採用したケース論文である。この2本の論文掲載を通じて、自身のケーススタディの方法論を海外ジャーナル採択の水準に高めるという当初の目的を達成することができた。この技能を活かして最終目標であるリソース・リポジショニング論文の採択を実現したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度には論文が2本海外ジャーナルに掲載された。Journal of International Marketing(2016 impact factor:3.7 / 5-year:4.9) とJournal of Business and Industrial Marketing (2016 impact factor:1.371 / 5-year:2.017)である。研究成果は着実に出ていると評価できるため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。但し、本研究プロジェクトの集大成であるリソース・リポジショニング論文はまだ主要な海外ジャーナル誌での採択には至っていない。この点は課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
このたび1年間研究期間を延長することとなった。主な理由はリソース・リポジショニング論文の海外ジャーナル投稿と採択のための施策の立案と実行にある。すでにデータは収集済みであり、論文も完成している。H29 (2017)年にはAcademy of International Businessの年次大会で報告もしている。しかし課題は、1)投稿先ジャーナルの選定と2)データ分析における頑健性のさらなる向上にある。この準備のため、H30年度(延長期間)に海外の著名な学者を招聘し、本研究に関する議論を行う。すでに4月に英国サセックス大学より研究者を招聘しセミナーを開催した。5月にも同じく英国レディング大学(国際ビジネス研究の世界的にリードする研究機関)より著名な研究者を招聘し、研究会を開催する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度においては海外ジャーナルへの投稿を予定しており、このために海外の国際的に著名な研究者との集中的な議論を必要とする。当初はH29年度内に実施予定であったが、日程調整の結果、H30年4月と5月に実施することとなった。したがって、これらセミナーの経費をH30年度へ繰り越すこととなった。
|