本研究の目的は日本発の新興国市場戦略の理論化にある。研究期間を1年延長し、H30年度が最終年度となった。本年度は、海外ジャーナルへ投稿準備ために、海外研究者を招聘しての複数のワークショップを開催した。4月、5月、そして1月に合計3名の研究者を招聘した。英国レディング大学ナルーラ教授、オランダのティルバーグ大学ヘナート教授、そして英国サッセックス大学河合准教授である。これらワークショップでは、本研究課題のテーマである、新興国市場へ参入してから概ね5年間の短期間における本国資源の活用のプロセスを検証する「リソース・リポジショニング・フレーム」を提示し、様々な角度から有益なコメントをいただくことができた。 とくに有益であったのは、リソース・リポジショニング・フレームをマーケティング分野に位置づけるのか、国際経営分野に位置づけるのかという根本的な問題を深く議論することができた点にある。理論的な系譜の先に新しいフレームを位置付けなくてはならない。そこでワークショップでの議論を踏まえ、マーケティング研究の分野に本研究を位置付けることとした。中でもマーケティングの実行能力に関する研究群である「マーケティング・ケイパビリティ」分野への貢献を本論文の目標に定めた。 これらワークショップでの成果を踏まえ、令和元年には、Academy of Internatinal Businessのアニュアル・ミーティングの国際マーケティングセッションにおいて報告を行う。これら複数のワークショップを踏まえ、海外ジャーナルの投稿先(ターゲット)を定めることができた。現在、採択に向けて取り組んでいる。
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