研究課題/領域番号 |
15K03686
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
近能 善範 法政大学, 経営学部, 教授 (10345275)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サプライヤー / 取引ネットワーク / 自動車産業 |
研究実績の概要 |
本年度は、①㈱IRC発行の『主要自動車部品の生産流通調査』84年版~2008年版(3年ごと)、②㈱IRC発行の『日本の自動車産業の実態』93年版~07年版(4年ごと)、③ (社)日本自動車部品工業会の『日本の自動車部品工業』の1969年版~2009・2010年版(ほぼ毎年)、④特許調査会社を通じて購入した、1983年から2009年までに自動車メーカーが出願した特許データと、同期間中に部品サプライヤーが出願した特許数のデータ、および自動車メーカー・部品サプライヤーの共同特許データ、を統合して作成したパネルデータを利用して、「顧客範囲」(Customer Scope)と「製品範囲」(Product Scope)のそれぞれの軸を通じた多角化が部品サプライヤーの企業業績に及ぼす影響について、定量的な分析を行った。 具体的には、日本の自動車産業の部品サプライヤー企業を対象として、「製品範囲」と「顧客範囲」の二軸を説明変数に設定。1990年から96年にかけて、部品サプライヤーが、①製品範囲を拡大(縮小)した場合と、②顧客範囲を拡大(縮小)した場合とで、当該部品サプライヤーの2000年~03年の3年間の「売上高成長率」と「平均売上高経常利益率」にどのような影響が及んだのかを検証した。その結果、「顧客範囲拡大」は「売上高成長率」にプラスの効果を及ぼす一方、「製品範囲拡大」は「平均売上高経常利益率」にマイナスの効果を及ぼしていることが分かった。すなわち、「顧客範囲拡大」と「製品範囲拡大」のどちらを目指すのかという、90年から96年にかけての部品サプライヤー企業の戦略行動の差が、4年以上のラグを経て、企業業績に正反対の効果をもたらしていたことが明らかになったのである。 こうした成果は、組織学会(2018年6月)にて、概要を発表する予定である。また、本年度中に、学術誌にも投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定量的分析については概ね予定通り進んでいるが、主要な自動車部品サプライヤーや自動車メーカーへのインタビュー調査がほとんど行えていない。また、昨年度にジャーナルに投稿した論文の審査が1年以上に及び、別の新しい論文の作成に割く時間が十分に確保できなかったため、研究成果の公表についても予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2018年度)は、定量的な分析によって得られた結果について、背後にあるロジックを含めて正確に解釈するために、主要な自動車部品サプライヤーおよび自動車メーカーへのインタビュー調査を精力的に行っていきたいと考える。 また、本年度は研究の最終年度であるため、これまでの調査・分析の結果をまとめ、国内外の学会での発表や、ジャーナルへの論文投稿を積極的に進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が807円と少額であり、購入希望の物品の価格に不足していたため、次年度に繰り越した。 4月中には、残額の支出手続きが完了する予定である。
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