研究課題/領域番号 |
15K03695
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
北 寿郎 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (70388049)
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研究分担者 |
児玉 俊洋 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (30234785)
藤原 浩一 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (60250586)
森下 俊三 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (80738815)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | オープンイノベーション / 組織能力 / ダイナミックケイパビリティ / 両手遣い / Exploration / Exploitation |
研究実績の概要 |
1.企業インタビューに向けての予備調査 様々な産業種別の大手企業15社(空調:D社、エネルギー:I社、飲料:A社、重工:K社、住宅:D社、電機:F社、自動車:D社、繊維:S社、電工:S社、運輸:H社、不動産:M社、金融:M社、半導体製造装置:S社、測定器:H社、酒造:T社)のトップレベルの企業経営者に予備的なインタビューを行い、各社のオープンイノベーションに関する取り組みについての概要を調査した。ほとんどの企業でオープンイノベーションに関する取り組みはなされているが、本研究で取り扱おうとしている組織風土やマネージメントシステムの改革を意識した取り組みを志向している企業は皆無であった。 2.アニュアルレポート収集とフォーマット化 様々な分野の企業のここ30年から10年間のアニュアルレポートを500余件を収集し、それらをテキスト解析にかけられるフォーマットに変換した。これらはDBとしてWeb上で公開する予定。また、オープンイノベーションに関する著作を発表して以降のオープンイノベーションに関する国内外の研究論文を収集し、その研究分野の傾向を分析することを目的に、論文の収集とフォーマットかも開始した。現時点で400件以上の論文の収集とフォーマット化も完了している。これと平行して、日本の大手エレクトロニクス企業のExploration(新ビジネスの探索)とExploitation(既存ビジネスの深耕)という両手遣いの能力(Ambidexterity)と業績の関係をアニュアルレポートのテキスト解析によって分析した。ここで得られた結果は、好業績の企業は、好調時にはExploration、不調時にはExplorationを重視する戦略を採用しているのに対し、業績の悪い企業はその逆の戦略をとっているという極めて興味深いものであった。この結果を早急に論文にまとめ、主要な国際会議で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アニュアルレポートの収集とフォーマット化は予定通り進捗。オープンイノベーションに関連する両手遣いの能力に関する極めてユニークな知見も得られた。 インタビュー件数もほぼ計画通であるが、さまざまな産業を対象にした割には企業間の違いが出ていない。もう少し、アニュアルレポートの分析で問題点を抽出した上で、インタビューを行った方が良いかもしれない。 アニュアルレポートだけでなく、オープンイノベーションに関連する研究論文も400篇以上収集し、研究内容の傾向分析も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
企業インタビューの結果は、一様に平板的なものであった。実はここに日本企業のオープンイノベーションに対する取り組みの問題点が存在するものと確信した。 そこで、アニュアルレポートの分析とインタビューを平行して行うという当初計画を以下のように変更する。 ・2016年度はアニュアルレポートの分析を集中して行い、既存事業の深堀と新規事業開拓という異なる目的を達成するために各社が取り組んでいるオープンイノベーションに関わる組織能力の問題点を明確にする ・その結果を公にするシンポジウム等を開催し、オープンイノベーションに関する問題意識を高めた上で、最終年度に集中的にインタビューとワークショップを行い、企業の現状を明確にするとともに、その解決に向けてのきっかけを提供したい
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次年度使用額が生じた理由 |
大手企業15社の経営者クラスへの予備的インタビューにおいて、ほとんどの企業のオープンイノベーションに対する認識が単なる外部技術獲得の域を出なかったため、詳細なインタビュー調査よりも、アニュアルレポート分析によるオープンイノベーションの課題抽出を先行させることとした。そのため、インタビューにかかる経費が予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
アニュアルレポート分析をより充実させるため、分析用の新規PCの購入経費に充当する。
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