研究課題/領域番号 |
15K03695
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
北 寿郎 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (70388049)
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研究分担者 |
児玉 俊洋 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (30234785)
藤原 浩一 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (60250586)
森下 俊三 同志社大学, その他の研究科, 教授 (80738815) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オープンイノベーション / 成熟度 / 両手遣い / 組織能力 |
研究実績の概要 |
1.オープンイノベーション成熟度評価フレームワークの構築 今年度は過去2年間の日米欧の企業調査及び文献調査結果を基に、企業におけるオープンイノベーションの組織能力の成熟度を評価するフレームワークを構築した。提案した成熟度評価のフレームワークは、「オープンイノベーション活動の内部プロセス」と「外部との連携プロセス」の2つのプロセスから構成されている。前者のプロセスは、①組織と人、②経験と学習、③仕組みとツール、④組織文化とモチベーション、⑤ビジョン、ビジネスモデル構築、で構成し、後者では、外部連携を行う際の、①動機から探索、②パートナー選定、③統合、④商業化に至る流れに基づきオープンイノベーション成熟度を総合的に評価することを意図して作成している。 このフレームワークを用いて、オープンイノベーションに積極的に取組んでいる日本企業3社(エネルギー系企業O社、食品系企業A社、建設機器系企業K社)のオープンイノベーション実施事例をもとにその成熟度評価を実施し、これらオープンイノベーションの優等生といわれる日本企業においてさえ「パートナー選択」、「技術の適合度」、「吸収能力」に関して取り組みの強化だけでなく、オープンイノベーション人材の育成や評価といった「組織体制」、さらにはNIH(Not Invented Here)症候群といわれる自前主義を克服する組織文化の醸成やオープンイノベーション活動におけるトップのリーダシップの発揮が必要であることの示唆を得た。 2.オープンイノベーション教育用教材の開発 これまでの研究成果を教育面でも活用すべく、オープンイノベーション教材を開発した。本教材は、オープンイノベーションを導入したい企業の組織能力を向上させるという観点で作成されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、過去2年間の成果の集大成としてオープンイノベーション成熟度の評価フォーマットを作成し、いくつかの企業でそのフィージビリティスタディを実施した。その結果はこの成熟度評価が企業のオープンイノベーション能力を評価できることを示しており、本研究の狙いと進め方が間違っていなかったことが証明されたものと判断している。ただ、本研究の意義をさらに高めるために、より多くの事例での評価を行うとともにその結果をフィードバックすることにより、成熟度評価の項目および内容のより一層の改善を図ることが重要であると考え、研究期間を1年間延長し、次年度2018年度も引き続き研究を実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
1)2017年実施の3社以外の企業に対しても成熟度調査を実施し、成熟度評価の項目および内容のより一層の改善を図る。 2)新たなオープンイノベーション研究課題の探索として以下の項目についての予備検討も実施する。 ①クローズドイノベーションのような密なネットワークで問題になる集団思考の問題 ②弱い紐帯理論に基づくオープンイノベーションのネットワーク分析 ③オープンイノベーション人材のコンピテンシー
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次年度使用額が生じた理由 |
オープンイノベーションに関する組織能力およびそれを遂行する人材のコンピテンシーに関する調査分析のまとめが2018年度にずれ込んだことに加え、成熟度評価のブラッシュアップを行うため。
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