研究課題/領域番号 |
15K03697
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中村 志保 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20389191)
|
研究分担者 |
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 国際人的資源管理 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、1.文献の整理、2.理論枠組みの構築、3.執筆(教科書、論文)、4.国際学会での報告を行った。 まず、「1.文献の整理」と「2.理論枠組みの構築」についてである。継続的な文献研究を行なった一方で、これまで行っていた企業インタビューの資料を整理し、日本企業の海外子会社のパネルデータセットを用いて分析を行い、本研究の理論枠組みの構築、命題・仮説の導出を行った。 「3.執筆(教科書、論文)」については、上記で構築した理論枠組みや仮設を基に、関口倫紀、竹内規彦、井口知栄編著(2016)『国際人的資源管理』中央経済社の第16章「日本企業の国際人的資源管理」を執筆し、また、Localization, economic distance, and subsidiary performanceやIncreasing or Decreasing PCNs in a Subsidiary: The Implications for Subsidiary Performanceなどの論文にまとめた。 「4.国際学会での報告」については、2015年9月にシンガポール国立大学で開催されたInternational Workshop: Global HR and the Japanese Companyに招聘され、報告を行った。 得られた研究成果は次の通りである。人材の現地化と海外子会社の業績の関係は線形ではなく、現地化の業績への効果の方向と程度は、進出国の経済発展の程度に影響されることが分かった。また、現地化と、現地化の逆方向の人事政策との間で、海外子会社業績への影響に違いがあるかを分析した結果、現地化した場合も、子会社に本社からの派遣者を増やした場合も、子会社の業績には正の影響があることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画では、命題及び仮説の導出と理論枠組みの構築であった。前述したように、平成27年度は文献の整理、これまでのインタビューの資料整理、データ分析を行った上で、仮設の導出と理論枠組みの構築を行った。また、これらの結果を、論文やテキストにまとめ、国際学会で報告し、他の研究者との意見交換を行っている。このような意味で、研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は事例研究(第一次インタビュー調査)を予定している。文献研究、過去のインタビューの資料整理、パイロット調査を通じて精緻化された理論枠組みに基づき、本格的な事例研究を行う。対象企業はキヤノン、富士通、パナソニック、村田製作所、シャープ、オムロン等を予定している。 理論枠組みと事例分析の結果について研究代表者と分担者で定期的な研究会を行う一方で、専門家との意見交換を行う。この分野の第一人者であるUniversity of VictoriaのIgnace Ng教授やChinese University of Hong Kongの牧野成史教授などの協力を得る予定である。得られた結果は、論文等にまとめ、学会報告を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度にパイロット調査を予定していたが、研究代表者、研究分担者、企業の担当者の予定が確定せずに、調査を実際に行うことが出来なかった。調査は、方法上、一定の限られた期間に複数社行う必要があった。そのため、計画していた予算(旅費)を使用することが出来なかったからである。 また、国際学会で報告する予定であったが、国際ワークショップに招聘されたため、旅費がかからなかったためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は平成27年度に構築した理論を基に事例研究を行う予定である。パイロット調査では行うことの出来なかった企業インタビューを行う予定である。パイロット調査を行うことが出来なかった分、この事例研究では複数企業、また、同一企業を複数回訪問し、インタビューすることにより、構築した理論が社会性のあるものかどうか分析し、より精確な理論構築を行うことが出来る。平成27年度に使用しなかった旅費は、この複数回インタビューに使用する予定である。 また、平成28年度の6月に既に2本の論文を国際学会で報告する予定(報告確定)であり、これに平成27年度に使用しなかった旅費を充当する予定である。
|