研究課題/領域番号 |
15K03698
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
崔 裕眞 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20589725)
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研究分担者 |
延岡 健太郎 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (90263409)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自動車のデザインとデザイナー / 自動車デザインの歴史 / 日韓自動車メーカー / グローバルデザイン戦略とイノベーション / デザイン経営とブランド経営 / 意味的価値の本質探求 / 高付加価値創出の技術経営 |
研究実績の概要 |
初年度の2015年は次の三点が実現されている。 1. 韓国自動車メーカー(とくに現代自動車、ヒュンダイ・モーターカンパニー)のデザイン経営について、まずは歴史的考察をとおしてその進化の文脈と、生産販売台数世界4位のグローバルメーカーとして成長に至るまで、クルマのデザインを経営戦略として如何に認識し、活用し、実践したきたかを分析した。こちらの研究実績は2015年の6月にInternational Journal of Automotive Technology & Management (Vol.15, No.3)の学術出版内容により具体化されている。 2. 韓国メーカーにとって現在最大の(戦略的)関心事は水素燃料電池と電気による駆動系関連課題とICTの活用によるConnected Carという課題以外は、事実上デザイン戦略がすべてと言っても過言ではない。これを踏まえて、日本メーカーのデザイン主導イノベーションの最先端を行くマツダの事例においての学術研究(研究分担者・一橋大学の延岡教授)のさらなる高度化と、海外学術出版を試みて知識共有を図り、韓国メーカーからの研究協力要請の下地を用意した。2016年2月15日より22日まで執行された米国カリフォルニア州への研究出張では、マツダとレクサスのデザインセンターへの訪問と複数名のデザイナーへの直接インタビュー・資料収集を行い、自動車デザインの戦略的重要性を再確認し、さらに今後のグローバル展望についても意見・知識共有を進めている。 3. 2016年3月25日に一橋大学イノベーション研究センターにて「第二回Design Value Seminar(デザイン価値セミナー、延岡教授主催、於一橋大学イノベーション研究センター、1300時~1800時)」を開催し、自動車メーカーを筆頭に、諸産業界で具体化されているデザイン経営の多様な事例と理論化の発表と知識共有を行った。こちらの研究会の趣旨はデザイン経営の理論的高度化と、今後国際学術発信、そして国際共同研究の可能性を模索することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」でまとめているとおり、初年度の2015年度の目標は、2016年度から具体化する韓国メーカーへのコンタクトと研究協力依頼に必要とされる「下地的」作業の進捗であり、現時点までは「おおむね順調に進展している」と判断する。具体的進捗状況のまとめ: 1. 国際学術論文出版:Choi, Eugene K. (2015) ."Hyundai's Dynamics of Styling-Driven Capability Development: A Historical Analysis of the 1970s - 1990s", International Journal of Automotive Technology and Management, Vol.15, No.3, pp 292-310. 2. 国内学術記事(論文)出版:延岡健太郎・木村めぐみ(2016)マツダ:マツダデザイン "CAR as ART" 一橋ビジネスレビュー、ビジネスケースNo.126、2016年度春号、東洋経済新報社、130-148. 3. 第二回デザイン価値セミナー:2016年3月25日金曜日、1300時~1800時、於一橋大学イノベーション研究センター
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目になる2016年度進捗の中で具現化されるべき点は、
1. マツダの研究事例の国際学術発信の進展(これは、日系メーカーのデザイン主導イノベーションにおける学術的知見の高度化)をもって、同様の戦略をもつヒュンダイ・起亜自動車への研究協力を促す、 2. Gensisブランドの立ち上げ(2015年11月)など、高級ブランド化も推進中のヒュンダイ自動車との今後のグローバル市場展開・競合を見据えて、トヨタのレクサス研究(主にデザイン経営の分析)、 3. ヒュンダイ・起亜自動車へのコンタクトと研究協力への同意を確保し、2016年度後半以降、研究資料収集と分析作業が迅速に開始されること。こちらの三点に焦点を絞って研究活動を執行する。以上。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の延岡健太郎教授は研究初年度(2015年度)の予算は全額本人がすでに研究代表者として保持している研究費をもって執行していて、本研究費の使用執行は、韓国自動車メーカーへのコンタクトと、共同研究が具体化される2016年度後半より行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度後半から執行予定の、ヒュンダイモーターカンパニー(そして起亜自動車)の韓国調査と、日韓自動車メーカーの協力・支援のもとに執行される欧米諸国(とくに、アメリカとドイツ、そしてイギリス)所在の自動車デザインセンターへの訪問調査の旅費として使用する。
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