研究課題/領域番号 |
15K03699
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中村 彰憲 立命館大学, 映像学部, 教授 (70367134)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 独立系開発スタジオ / ベンチャー企業 / プラットフォーム / アプリ開発 |
研究実績の概要 |
グローバル規模で市場拡大が著しいスマートフォン用アプリ開発において、国際経営学で言うところの「ボーン・グローバル」型企業が多数創出されているとされるが、その実態はこれまで明らかになっていなかった。そこで本研究では、エンターテインメントコンテンツを開発しているベンチャー企業を研究対象に、1年目は主にカナダ、アメリカ在住のベンチャー企業に対し、2年目は主に対象を国内ならびにヨーロッパ在住のベンチャー企業を中心に、そして、3年目は、主に対象を中国に広げ半構造化面接を実施してきた。なお、2年目から対象領域をエンターテインメントソフトウェア開発の独立系小規模スタジオとしてきたが、中国では、北京、上海、杭州、広州、深せんなど多様な地域にて半構造化面接を実施している。結果的にボーン・グローバル的特性の開発姿勢や展開が出来るのは、むしろ個人の国際意識というよりは、開発しているコンテンツそのものの特性に依存していることが明らかになってきた。さらにこれは、スマートフォン向けゲームアプリ、Virtual Reality汎用機向けソフト、ならびにスマートフォン用Virtual Reality ソフトといった、プラットフォームの特性に依存しないという点も確認出来た。 これらに加えて重要なのは、人員体制である。国際都市である上海市や、深せん市などでは、海外留学経験者や、北米での業務経験者がベンチャー企業を創業している例が多くみられ、これらの企業の場合、いずれも企画段階から、直観性などを重要視していた。また、開発するコンテンツそのものも、デザインの革新的部分については、欧米でプロデュースされた作品からインスピレーションを受けている例も見られた。これらを整理していてくことで、エンターテインメントソフトウェア開発において如何に企画段階から多国籍展開を狙えるかを明らかにすることが出来ると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の把握、並びに評価項目の確認を踏まえたうえで、これまでは平成27年~平成28年に実施した半構造化面接での研究結果を集約出来た。平成29年は、これらに加え、中国での検証を深めたが、これらで得た知見の一部は、論文としてまとめている最中である。これらをひととり、実施されば、以降は、これまでの研究に対する総括を進めることが出来るだろう日本、北米、欧州、そして中国都市部と地方といった多様なサンプルを整理しながら、国際学会などで意見を交わしながら、より汎用性のある成果として研究をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、最終年度であることから、これまでの知見を引き続き整理しながら、国際学会などに参加し、ボーン・グローバル型並びに独立系小規模スタジオの双方またはいずれかの研究に従事している研究者との交流を進め、これまで自ら集約してきた、研究結果などを共有していきたい。さらに研究結果の整理を続けることで、ボーン・グローバル型アプリを企画できる人員体制や、都市構成、コンテンツ特性などの整理が出来ると考えられる。そこで、これらも整理を進め、最終的には、各種学会、シンポジウムなどで発表を進め、知見を研究者コミュニティと共有していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来、調査をしようとしていた一部の地域との時間があわず行くことが叶わなかった。ただし、すでに欧米中国を中心としたサンプル調査は進めていることから、今年度は、当該課題に対する研究者ネットワークの構築を中心に据えながら、引き続きアジア地域における独立系開発スタジオの対する調査を進めていきたい。
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