今年度は、最終年度であることから、これまでの知見を引き続き整理しつつデジタルゲームに関する国際大会、DiGRA2018に参加し、インディーゲーム開発と、グローバル化に関する意識について研究者の交流を進めることが出来た。また、インディーゲームに関する国際的な展示会にも参加し、そこでの出展社などに対しても継続的に半構造化面接を実施した。これらに加え、東南アジア地域でのゲームアプリ関連における調査を行政関連政策などともあわせ進めることが出来た。これで当初想定していた、日本、アメリカ、オーストラリア、欧州、中国、そしてその他のアジア地域におけるスマートフォン向けエンターテインメントソフトウェアの展開に関する比較調査を進めることが出来た。 これらの結果、インディーゲームのゲームスタジオにおいて独自のキャリアパスが形成されつつある点、グローバルに展開するうえでのクラウド・ファンディングの活用、従来のレガシー作品でディレクターを経験したひとたちがインディーチームを立ち上げた際のボーン・グローバル型展開における優位性ならびにチームメンバー自体が国際的な編成に基づいて推進されるチームのグローバル展開での優位性などが確認できた。これらに加え市場の拡大が続いて中国においても市場変化(とりわけ政策展開や行政側の構造改革などの影響)に応じてグローバル化を急速に進めるなどといった状況も確認出来ている。 また、市場が形成されるか否かといった産業形成期のエンターテインメントなどについても、必然的に最初期の作品から、国際展開せざるを得ない状況になるという事実も明らかとなった。同時に新興エンターテインメントのとりわけ黎明期は小規模企業にとってもグローバル展開がよりやりやすいという事実を確認出来たという点も併せて付記しておきたい。
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